Event report
2024.2.12
東 芽以子 / Meiko Higashi
FabCafe Nagoya PR
片方の手で形づくる“半分だけの輪”
それぞれが思い描く、循環型社会の輪
資源、情報、経済、そして、人や物が
循環すること=輪であるならば
東海サーキュラー・ラボ(TOKAI CIRCULAR LAB)のそれは
まだ半分だけの未完成な形
ラボのメンバーそれぞれが
それぞれの目指す「循環の輪」を
いつか完全な形にするために
2024年のNext Stepを、ここに宣言します!
2023年春、FabCafe Nagoya 代表の矢橋 友宏が満を持して立ち上げた「東海サーキュラー・ラボ(TOKAI CIRCULAR LAB)」。メンバーを募集してすぐに、東海エリアで循環型社会の実現に賛同する方々が、参加の意思を表明してくださいました。2023年12月には、行政、民間企業の担当者や、起業家、クリエイターなどが、それぞれの活動を報告するとともに、2024年の新しい1年に向けて具体的な目標を定めるべく、FabCafe Nagoyaに集まりました。また、スペシャルゲストとして、大手ディスプレイデザイン会社である、株式会社 船場の神戸 暁さんをお招きし、自社で取り組むエシカルなアクションや、サーキュラーエコノミーを牽引するオランダ・アムステルダムを視察した感想などについてお話いただきました。
写真 / FabCafe Nagoya 兼 東海サーキュラー・ラボ(TOKAI CIRCULAR LAB)代表 矢橋 友宏
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東海サーキュラー・ラボ
東海エリアでのサーキュラー・サスティナビリティの挑戦者・実践者たちが「とどける」「つながる」「つくる」オープンイノベーション・コミュニティ
循環型のプロダクトやサービスを共同で研究・開発する創造的実践の場で、定期勉強会、アドバイザリーサービスなどを通してメンバーの挑戦の第一歩を後押しします。
東海エリアを中心に、サーキュラー・サスティナビリティ関連の取り組みをしているクリエイター、企業、自治体、団体、教育・研究機関、学生たちと共に、サーキュラー・エコノミーを軸とした、「とどける」機会の場を有し、「つながる」機能を持ち、創造性あるプロジェクトを共に「つくる」きっかけを提供します。循環型のプロダクトやサービスを共同で研究・開発する創造的実践の場で、定期勉強会、アドバイザリーサービスなどを通してメンバーの挑戦の第一歩を後押しします。
東海エリアを中心に、サーキュラー・サスティナビリティ関連の取り組みをしているクリエイター、企業、自治体、団体、教育・研究機関、学生たちと共に、サーキュラー・エコノミーを軸とした、「とどける」機会の場を有し、「つながる」機能を持ち、創造性あるプロジェクトを共に「つくる」きっかけを提供します。
株式会社 船場の上席執行役員で、EAST事業本部長の神戸 暁さん
2021年より“エシカル=おもいやり”をコンセプトに、環境に配慮した空間創造プロジェクトを多く手掛ける株式会社 船場。自社独自の取り組みとしては「ゼロウエイスト・エシカルマテリアル・リプロダクト」をテーマに、空間デザインの現場から出る廃棄物の9割以上を分別処理したり、約100社から集めたエシカルな建材をギャラリーに展示・公開するほか、小径木や工場端材などをアップサイクルし、家具を開発・販売するなど、わずか数年で着実に循環型の事業モデルへシフトしています。また、神戸さんは、社内メンバーなどと2023年にアムステルダムを視察。2050年までにサーキュラーエコノミーの実現を宣言しているアムステルダムでは、手厚い補助金政策などが起爆剤となり、世界中から起業家が集まっていて、循環型ビジネスへのシフトが加速していると感じた、とお話くださいました。
かつての造船所など、使われなくなったエリアを世界の若い起業家に解放して、循環型の新しいビジネスモデルを展開させようというアムステルダムのブランディングは、とてもセンスが良いと感じました。世界で初めて3Dプリンティングで鉄橋を作ったり、まだ誰も手がけたことのないことをプロトタイピングし、社会実装するまでのスピードが速い。また、クリエイティビティも非常に高くて、どんなことにもデザインで返してくる“ダッチデザイン”に魅了されました(船場・神戸さん)
日本国内で、地域の建築物や構造を活かし、リノベーションを通して資源循環を推進する船場。廃業したゴルフ練習場の観光拠点としての再生や、アパレル業界で革命的となる循環をテーマとしたコンセプトストアのデザインなどの実績から、多くのパートナーと共創するプロジェクトを進めているとのこと。今後の取り組みにも、ますます、期待が高まります。
船場のプロジェクトについての詳細は、FabCafe Nagoya及び東海サーキュラー・ラボ(TOKAI CIRCULAR LAB)代表 矢橋との対談 前編 / 後編をご参照ください!
次に、この日集まった参加者の中から3名が登壇し、それぞれが、それぞれの地域で取り組んでいる活動を報告。各地域で起こり始めている、循環型社会への“うねり”を感じさせるようなピッチが繰り広げられました。
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蒲郡市役所 杉浦 太律 さん
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マウンテンマテリアルズ 伊藤 大悟 さん
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おおぶ竹林循環プロジェクト 箕浦 希奈 さん
蒲郡市役所 企画部 企画政策課 サーキュラーシティ推進室 主査 杉浦 太律 さん
2021年より、サーキュラーエコノミーを組み込んだ街づくりに取り組む愛知・蒲郡市。全国で初めて、自治体としてメルカリのアカウントを取得し、市民から持ち込まれる粗大ゴミを出品・再活用することなどで、市民の行動変化を促しています。また、蒲郡が繊維の産地でもあることから、市内のカーテンメーカーで廃棄されていた、どうしても再利用できないレースの端材でウェディングドレスをプロトタイピングするなど、地域産業の特性を活かしたユニークで心温まる循環活動を続けています。
マウンテンマテリアルズ 代表 伊藤 大悟 さん
愛知・豊田市で、陶器や碍子(がいし)などの窯業原料を採石・製造する会社を営む伊藤さん。2019年より3代目社長として経営を進める中、窯業全体の衰退と環境保全の必要性を痛感したと言います。自社鉱山を開発後、再緑化に取り組む中、着目したのがアカマツです。有識者との研究で当鉱山の再緑化に最適であるとわかったアカマツを植林するだけでなく、間伐したマツをアップサイクルし農薬・肥料不使用の天然松葉茶の製造・販売をスタート。「価格に関わらず、世にある全ての商品は手間暇をかけて作られていることを知ってもらいたい」と話し、松葉茶を新たな特産品とすべく、製造工場誘致など地域内経済循環を視野にいれた活動を続けています。
おおぶ竹林循環プロジェクト BUNKAI デザイナー 箕浦 希奈 さん
子どもの頃の遊び場が、荒れ果てた竹林に…。愛知・大府市で、こうした放置竹林の整備に取り組む箕浦さんは、地域で有志を集め、2021年から有休資源の地域循環を目指し活動をしています。地域活動やコミュニティ形成を通して、現在は県内外から賛同者が集まるプロジェクトとなったことから、最近では、地域通貨の運用も試みていて、将来的には貨幣を介さず、様々な市民活動に参加することで地域経済を循環させる仕組みを作りたいとしています。また、2024年は行政との連携を強めて、地域の資源や経済の循環に、さらなる協力体制を作っていきたいと抱負を語りました。
この日の最後には、参加者に、それぞれの“現在地”から踏み出す2024年のNext Stepを宣言していただきました。今回集まった参加者の所属はもちろんのこと、ジェネレーションも様々ですが、寄せ集められた力強い言葉からは「資源や経済、人や物を、サステナブルに循環させたい」という、共通の熱い志が感じられました。
2024年、東海サーキュラー・ラボ(TOKAI CIRCULAR LAB)は、こうしたメンバーと、ますます連携を図り、たくさんの“循環”を叶えていきたいと思います。皆様のご参加をお待ちしています!
※ 東海サーキュラー・ラボ(TOKAI CIRCULAR LAB)に参加希望の方は、こちらをご確認の上、参加希望フォームよりご連絡ください。
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神戸 暁
株式会社船場 上席執行役員 EAST事業本部長
1979年生まれ 愛知県出身。商業施設の総合開発を主業とする船場において幅広いプロジェクトを手掛ける。社会課題の解決する空間デザインを得意とし、近年では大学や学校といった「学びの場」づくりに取り組む。2021年より新設されたエシカルデザイン本部を牽引し、資源を循環させるリノベーション「Circular Renovation®」を提唱、多数プロジェクトへの実装を進めている。事業廃棄物のリサイクル率90%以上を目指すタスクフォース、ゼロウェイスト推進室の責任者も務めている。
1979年生まれ 愛知県出身。商業施設の総合開発を主業とする船場において幅広いプロジェクトを手掛ける。社会課題の解決する空間デザインを得意とし、近年では大学や学校といった「学びの場」づくりに取り組む。2021年より新設されたエシカルデザイン本部を牽引し、資源を循環させるリノベーション「Circular Renovation®」を提唱、多数プロジェクトへの実装を進めている。事業廃棄物のリサイクル率90%以上を目指すタスクフォース、ゼロウェイスト推進室の責任者も務めている。
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矢橋 友宏 / Tomohiro Yabashi
FabCafe Nagoya 代表取締役
株式会社ロフトワーク 顧問岐阜県大垣市出身。1989年名古屋工業大学を卒業し、株式会社リクルート入社。通信事業や新規事業開発に従事。2006年ロフトワークに合流、取締役としてマーケティング・プロデュース部門の立ち上げ。プロジェクト管理、人事、労務、経理など経営システムの基盤構築・運用を指揮したのち、2023年より顧問に就任。
これまでの経験を東海エリアでも活かしたいと、2020年、ロフトワークとOKB総研(本社 岐阜県)との合弁で株式会社FabCafe Nagoyaを立ち上げ、代表取締役に就任。東海エリアにおけるデザイン経営の浸透と循環型経済(サーキュラーエコノミー)の社会実装をテーマに、製造業をはじめとした企業へのプロジェクト提案、コミュニティラボの立上げ・運営に奔走している。
これまでの活動・登壇岐阜県大垣市出身。1989年名古屋工業大学を卒業し、株式会社リクルート入社。通信事業や新規事業開発に従事。2006年ロフトワークに合流、取締役としてマーケティング・プロデュース部門の立ち上げ。プロジェクト管理、人事、労務、経理など経営システムの基盤構築・運用を指揮したのち、2023年より顧問に就任。
これまでの経験を東海エリアでも活かしたいと、2020年、ロフトワークとOKB総研(本社 岐阜県)との合弁で株式会社FabCafe Nagoyaを立ち上げ、代表取締役に就任。東海エリアにおけるデザイン経営の浸透と循環型経済(サーキュラーエコノミー)の社会実装をテーマに、製造業をはじめとした企業へのプロジェクト提案、コミュニティラボの立上げ・運営に奔走している。
これまでの活動・登壇
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東 芽以子 / Meiko Higashi
FabCafe Nagoya PR
新潟県出身、北海道育ち。仙台と名古屋のテレビ局でニュース番組の報道記者として働く。司法、行政、経済など幅広い分野で、取材、撮影、編集、リポートを担い、情報を「正しく」「迅速に」伝える技術を磨く。
「美しい宇宙」という言葉から名付けた愛娘を教育する中で、環境問題に自ら一歩踏み出す必要性を感じ、FabCafeNagoyaにジョイン。「本質的×クリエイティブ」をテーマに、情報をローカライズして正しく言語化することの付加価値を追求していく。
趣味はキャンプ、メディテーション、ボーダーコリーとの戯れ。
新潟県出身、北海道育ち。仙台と名古屋のテレビ局でニュース番組の報道記者として働く。司法、行政、経済など幅広い分野で、取材、撮影、編集、リポートを担い、情報を「正しく」「迅速に」伝える技術を磨く。
「美しい宇宙」という言葉から名付けた愛娘を教育する中で、環境問題に自ら一歩踏み出す必要性を感じ、FabCafeNagoyaにジョイン。「本質的×クリエイティブ」をテーマに、情報をローカライズして正しく言語化することの付加価値を追求していく。
趣味はキャンプ、メディテーション、ボーダーコリーとの戯れ。