Event report

2021.9.28

“インクルーシブ”な巻き込み力で、実現させたい公園づくり。

COUNTER POINT第5期「インクルーシブなアソビ」活動報告。

服部 木綿子

株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター

こんにちは!個人の偏愛と衝動を応援するレジデンスプログラムCOUNTER POINT byFabCafe Kyoto。コミュニティマネージャーの服部です。第5期プロジェクトである「インクルーシブなアソビ」の活動報告です。

関連リンク:
COUNTER POINT by FabCafe Kyoto について
※ 第6期 入居期間:2021年10月22日(金)-1月28日(金)(応募締め切り:10月4日)

障がいをもったお子さんの母であるヤマダマヤさんと清水千明さん。仲間と共に、「ミラスタ!つながる”こうえん”プロジェクト」を立ち上げ、障がいの有無や国籍などに関わらず、子どもから大人まで、みんなが楽しい公園を京都に作るべく日々活動されています。
これまでの活動の積み重ねで、障がいを持つ子のお母さん同士や、福祉関係の繋がりを築いてきたお二人。COUNTER POINTに参加したのは、普段と異なる活動場所でプロジェクトを開くことで、より“インクルーシブ”に周囲を巻き込んで行くため…!

思惑通り(?)FabCafe Kyotoに集まる、現代アーティスト兼研究者、義肢装具士、ユニバーサルデザインのコンサル会社でのデザイナー経験者という、事業を立ち上げられそうな最強過ぎる顔ぶれがあれよあれよと参戦し、FabCafe Kyotoでの第1回作戦会議を行いました。

和気藹々ムードでそれぞれが持つ知見を出し合いました。

公園を作りたい!と思ったら、あれこれ悩む前に、まずは役所に電話してどうすれば実現可能かリサーチする行動派のヤマダマヤさん。公園そのものを作る道のりは簡単ではないけれど、みんなで遊ぶ機会ならすぐにでも作ることができる。マヤさんと清水さんがアソビのテーマに選んだのが、シャボン玉。手を動かせない人も、吹くのが難しい人も、全部できちゃう人も楽しめる、スイッチで操作できるシャボン玉装置を作れないないだろうか。「スイッチ」というのは、手を動かすことのできないお子さんを育てるマヤさんにとっては身近なソリューション。ダイソーで販売されているシャボン玉装置に、有線のスイッチを取り付ける方法をインターネットで調べながらトライ&エラー。
するとCOUNTER POINT同期で、なんでも作っちゃうアーティスト川端さんが登場し、マヤさんのお悩みに応える形でどんどん実験を重ね、Nintendo Switchを活用し、無線のシャボン玉スイッチを開発していきました。

はんだ付けもお手の物。COUNTER POINTに参加したことで出来た”同期”が、心強過ぎるサポーターに。

マヤさんは息子さんが4人!末っ子が生後1ヶ月の時にかかった肺炎の後遺症で、生活全般に介助が必要に。それまではのんびりぐうたら(本人談)過ごしていたけれども、「今の社会のままじゃ、この子残して死ねないな」と思ったと言います。普段から障がいある/なし両方の元気な男の子と生活するインクルーシブな家庭環境。どんな人も楽しく過ごせる社会を作りたい、というのは、マヤさんの自然な想い。想いのままパワフルに、そして何より楽しんで取り組んでいるマヤさんの熱い想いは、作戦会議に参加したメンバーの胸にも飛び火したようでした。以下、首謀者マヤさんに加え、参加メンバーの声を掲載しています。ぜひ、想いに共感した人は、巻き込まれにFabCafe Kyotoまで!

COUNTER POINT4期「選択性を拡張する襯衣」で活動していた義肢装具士の安田さん。マヤさんが、お子さんの自助具を3Dプリンタで作ることが出来ないかとFabCafeにやってきた際に、FabCafeで活動する安田さんと出会ったのが、「インクルーシブな公園」プロジェクトがCOUNTER POINTに参加することになったきっかけ!

マヤさんが持参した、別のシャボン玉の道具で遊ぶ弊社ディレクターの村田。前職でインクルーシブをテーマにデザイナーとして活躍してきた。COUNTER POINTでインクルーシブのテーマが始まったと同時に入社なんて、マヤさんの引きの強さ?

  • ヤマダ マヤ

    ミラスタ!つながる”こうえん”プロジェクト

    京都市在住。4人兄弟の母。末っ子(小2)には障がいがあり、生活全般に介助が必要。通っていた療育園で、障がいのある子もない子も入り混じって一緒に過ごす「インクルーシブ」な環境を体感。その環境が良すぎて、どうにかその素晴らしい環境が広がってほしいと思っている。現在、京都にインクルーシブ公園の設立を目指してじわじわと活動中。いろんな方とつながり、たくさんの方に知ってもらうきっかけをつくりたいと思っている。

    ミラスタ!つながる”こうえん”プロジェクト

    京都市在住。4人兄弟の母。末っ子(小2)には障がいがあり、生活全般に介助が必要。通っていた療育園で、障がいのある子もない子も入り混じって一緒に過ごす「インクルーシブ」な環境を体感。その環境が良すぎて、どうにかその素晴らしい環境が広がってほしいと思っている。現在、京都にインクルーシブ公園の設立を目指してじわじわと活動中。いろんな方とつながり、たくさんの方に知ってもらうきっかけをつくりたいと思っている。

    ミラスタ!つながる”こうえん”プロジェクト

今回作戦会議を実施した動機は何ですか?

「インクルーシブなアソビ」とはどんなものか考えた時にまずは、1つのアソビでできる人とできない人がないようにしたいと思っていました。例えば、手で何かを持ったり、息を吹いてしゃぼん玉を作ることが難しい人が、どのようにすればしゃぼん玉で遊べるだろう?そこで、支援学校や、福祉機器展などではよく見かける「外部スイッチ」をしゃぼん玉機につなげられるように「BDアダプター」を作りました。有線でスイッチのON/OFFができましたが、これでは障がいのある人のための道具のように感じました。障がいのある人などが、しゃぼん玉を「できない」から「できる」には変わりましたが、障害のあるなし関係なく、みんなが一緒に楽しめるものを作りたいと考えていたので、何か足りない。いろんな視点からアイディアを集めたいと思い、作戦会議を開きました!

今回作戦会議を実施して、新しい発見はありましたか?

障がいのある息子が普段使っている外部スイッチが、もっといろんなパターンで使えれば良いなといつも思っていました。息子の手の機能や形に合う外部スイッチを結構いろいろと試して、使えるものだったので、いつも使っている外部スイッチありきで考えてしまっていました。専門的な知識で、外部スイッチ自体を変えるという発想で、私が感じていた問題が一気に解決できました。有線が無線になる事で遊びの自由度が上がりました。そして、何より「Nintendo Switch」を使うことで、みんなが一緒に楽しめるアイテムになるのでは?と思います。それと、「Nintendo Switch」が意外と軽くて小さい事も発見でした。ただ、やはり福祉機器の外部スイッチに比べると持ちにくいのでもう少し工夫が必要です。この辺りも含め今後もいろんな方の専門的な視点からアイデアをいただけると、選択肢が広がっていくのでは?とワクワクしています。

今後の意気込みをどうぞ!

まずはこのシャボン玉機を持って、いろんな人たちと遊びたいです!このアイテムがあることでどのような関わりが生まれるのか⁉そして、シャボン玉機だけではなく、みんなが遊ぶことができて楽しめる、それをきっかけにいろんな人の関わりが生まれる何かをもっとたくさん作りたいと思いました。それが、モノなのか、場所か分かりませんが、それらが集まっていくとインクルーシブな環境に近づくのかもしれないと思います。

作戦会議中にも話していたのですが、ダイソーのシャボン玉機は、まさか自分の中にこんなすごい脳みそが入ってきて、まさかNintendo Switchのジョイコンに操作されるとは思っていなかったでしょうね。私もまさかこのシャボン玉機がここまで進化するとは思っていませんでした。今まで、障がいのある人との関わりがある人とは、身体の不自由な人が使いやすいものについて考えたり、話したりしたことはありました。今回、普段障がいのある人との関わりがある人とない人が一緒に作戦会議をする事で、新しいものがうまれました。今後もぜひいろんな作戦会議ができたら嬉しく思います。

皆さま、今回はワクワクする時間を本当にありがとうございました。

  • 川端 渉

    現代アーティスト/研究者

    アートとサイエンスの狭間で活動する研究ベースの現代アーティスト。
    私達の身のまわりには、人から取りのぞかれていくものが多くある。ノイズ、錆、滲み、しわなど。人からは不要と思われるこれらも、テクノロジーではその性質を活用している。人の環境から取り除かれるものに存在感を与えたとき、見慣れた日常はどのように変化していくのかを探究している。
    http://showkawabata.net/

    ■ 関連記事:ええ空気を探して vol.1「テクノロジーの研究者と探る場作りのヒント」

    アートとサイエンスの狭間で活動する研究ベースの現代アーティスト。
    私達の身のまわりには、人から取りのぞかれていくものが多くある。ノイズ、錆、滲み、しわなど。人からは不要と思われるこれらも、テクノロジーではその性質を活用している。人の環境から取り除かれるものに存在感を与えたとき、見慣れた日常はどのように変化していくのかを探究している。
    http://showkawabata.net/

    ■ 関連記事:ええ空気を探して vol.1「テクノロジーの研究者と探る場作りのヒント」

作戦会議に参加した感想

作戦会議に参加して、自分自身の考えに間違いがある事に気付けました。それは、「インクルーシブ」という言葉を聞くだけで「障がいがある人のために」というモノを製作したり研究したりしていた事です。意識していなかったつもりが、どこかで「障がいがある」「障がいがない」という二項対立を作り出していた事になります。「これらを意識しなくても良い環境を作っていきたい」というヤマダさん達の考えを自分の中に入れられた事はとても意味があると思っています。

これは、「魚にとって水は全面的環境であり、そのため、かえって魚は自分が水の中にいることに気づかない」、同じ様に私達にとって当たり前の環境(地)になる事が必要になるという事です。そのためには、この活動が小さくても色んな方達に伝えられて、気付いてもらえるものにしていきたいと思いました。

  • 安田 伸裕

    楠岡義肢製作所 製造部 部長

    楠岡義肢製作所 製造部 部長 (DIY manager兼任)
    兵庫県神戸市北区出身 京都在住13年目(現在 宇治市在住)
    義肢装具士( 国家資格 )
    京都芸術大学 通信教育 染織コース 在籍
    土御門仏所 仏像彫刻教室 生徒
    佐藤喜代松商店 漆工芸教室 生徒
    CP4期に「選択性を拡張する襯衣(しんい)」で参加。

    楠岡義肢製作所 製造部 部長 (DIY manager兼任)
    兵庫県神戸市北区出身 京都在住13年目(現在 宇治市在住)
    義肢装具士( 国家資格 )
    京都芸術大学 通信教育 染織コース 在籍
    土御門仏所 仏像彫刻教室 生徒
    佐藤喜代松商店 漆工芸教室 生徒
    CP4期に「選択性を拡張する襯衣(しんい)」で参加。

作戦会議に参加した感想

インクルーシブなアソビ作戦会議にばたやん(川端さん)にお誘いいただき参加しました。自分自身、普段から様々な悩みを抱えた人に出会います。その中から生まれる疑問は人の数だけ違ってきます。何年経っても力不足を痛感します。それらを同じ価値観に合わせる事などほぼほぼ無理な事だと日々感ていて、それらの問題解決は実はこの「インクルーシブ」にあるのかなと思います。互いに抱える悩みに対し、それぞれの視点が全て一つの個性だし、その多種多様な個性が集まる場こそがなにより魅力的な場なんだなと感じました。

自身の普段からの視点に影響を及ぼしつつ、この大きな取り組みにこれからも応援し続けていきたいと思います。

  • 村田 菜生

    株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター

    大阪府出身。京都女子大学で造形意匠を専攻。在学中に、広瀬浩二郎氏の著書『さわる文化への招待 触覚で見る手学問のすすめ』(世界思想社、2009)を読んだことをきっかけに、触覚をテーマとして卒業制作に取り組む。卒業後、ユニバーサルデザインのコンサルティング会社で約4年間デザイナーとして勤務。障害のある当事者の視点を活かしたバリアフリーマップやガイドブックの他、ロゴマーク、イラストなどの制作に携わりながら、「わかりやすいデザイン」とは何なのかを考える。2021年、ロフトワークのクリエイティブにとことん向き合う姿勢に惹かれ入社。自分自身も一緒に楽しむ姿勢を忘れず、障害の有無にこだわらない多様な視点を持って課題解決に取り組む。趣味は、キリングッズ集め。

    大阪府出身。京都女子大学で造形意匠を専攻。在学中に、広瀬浩二郎氏の著書『さわる文化への招待 触覚で見る手学問のすすめ』(世界思想社、2009)を読んだことをきっかけに、触覚をテーマとして卒業制作に取り組む。卒業後、ユニバーサルデザインのコンサルティング会社で約4年間デザイナーとして勤務。障害のある当事者の視点を活かしたバリアフリーマップやガイドブックの他、ロゴマーク、イラストなどの制作に携わりながら、「わかりやすいデザイン」とは何なのかを考える。2021年、ロフトワークのクリエイティブにとことん向き合う姿勢に惹かれ入社。自分自身も一緒に楽しむ姿勢を忘れず、障害の有無にこだわらない多様な視点を持って課題解決に取り組む。趣味は、キリングッズ集め。

作戦会議に参加した感想

まずはお礼を…。参加させていただき、ありがとうございました!想いのある方、プロの方が集いアイデアを出し合いながら試行錯誤をしていく工程が大好きで、まだ何も目に見えない段階ながら、わくわくするような時間でした。前職でとある製品のコンセプトを考えた時に、「インクルーシブ」を一言でいうと?と議論したことがありました。私が思うのは「選択肢」です。他にも「自立」「平等」と単語はあったのですが。障がいのある方は、「これを」使ってください、「ここに」移動してくださいなど、選ぶ手段がないことをよく耳にしていました。とあるホテルで、バリアフリールームが整備され、「どの部屋にしますか?」と案内をもらった時にとってもうれしかったと聞いたとき、不自由なくいろんなものを選んできた今までの”個人的な当たり前”に、はっとする瞬間がありました。今回の取り組みの中でも、障がいの有無問わず各々自由な遊びができる空間を、選択肢が広がる空間を作れたら良いなと感じました。公園はアナログな感じがありますが、デジタルな領域とどう掛け合わせていくのかなど、考えたいポイントはたくさんありそうです。京都はまだまだ、障がい者にやさしい街というイメージがない印象なので、あたらしい京都の一面を作れたらステキですよね。引き続き、何かお役に立てることがあれば嬉しく思います。

Author

  • 服部 木綿子

    株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター

    神戸生まれ神戸育ち。岡山で農林業や狩猟がすぐそばにある田舎暮らしを約10年に渡り経験。その中で2軒の遊休施設をゲストハウス(あわくら温泉 元湯・岡山県西粟倉村/mamma・香川県豊島)として再生し、自らも運営の第一線に立った。その後、神戸の農産物などを販売する「FARMSTAND」で、マネージャーとして店舗の運営に携るなど、ローカルのコミュニティ拠点づくりに関わってきた。2020年2月ロフトワーク入社。感性を頼りに現場どっぷりで培ってきた経験値に、ロフトワーク流のロジカルな手法を掛け合わせたアウトプットが出来る日を目指している。趣味は、自分の人生と感覚を観察して、文章を書くこと。イラストも描く。
    https://loftwork.com/jp/people/yuko_hattori

    神戸生まれ神戸育ち。岡山で農林業や狩猟がすぐそばにある田舎暮らしを約10年に渡り経験。その中で2軒の遊休施設をゲストハウス(あわくら温泉 元湯・岡山県西粟倉村/mamma・香川県豊島)として再生し、自らも運営の第一線に立った。その後、神戸の農産物などを販売する「FARMSTAND」で、マネージャーとして店舗の運営に携るなど、ローカルのコミュニティ拠点づくりに関わってきた。2020年2月ロフトワーク入社。感性を頼りに現場どっぷりで培ってきた経験値に、ロフトワーク流のロジカルな手法を掛け合わせたアウトプットが出来る日を目指している。趣味は、自分の人生と感覚を観察して、文章を書くこと。イラストも描く。
    https://loftwork.com/jp/people/yuko_hattori

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