Event report
2019.3.12
素材の魅力を紐解く「素材の解体ショー」、Material Meetup TOKYO。
前回同様、大盛況となった第2回Material Meetup TOKYOのテーマは「感性を刺激するマテリアル」。当日のイベントの様子をレポートいたします。
開催概要:Material Meetup TOKYO vol.02 「感性を刺激するマテリアル」
Material Meetup TOKYO とは?
素材が生まれた背景や現在の形に至るまでの経緯、今後の展望など素材のもつ魅力を踏まえた上で、実際に素材に触れながら、従来とは違う扱い方を探求したり、素材の新しい価値を考えたり。Material Meetup は、作り手であるクリエイターやデザイナー、売り手であるメーカーが一緒になって素材の魅力を隅から隅まで見つけ出す、まさに「素材の解体ショー」なイベントです。
オーガナイザーは、MTRL TOKYO プロデューサーの小原和也(弁慶)と、ふしぎデザイン代表の秋山慶太さん。
まな板にのせられた素材たちをさばいていきます。
vol.02「感性を刺激するマテリアル」おしながき(登壇素材)
素材の解体ショー
素材の「解体」タイムでは、素材自体についてだけでなく、素材に関するエピソードやコンセプト、こだわり、さらには直面している課題などを、メーカーの方や主催者だけでなく、作り手の方も一緒になって吟味します。
予想外の発見
Case: 01 素材と人とをつなげる本:ASIA COLOR TREND BOOK
2008年に創刊し、今年で9巻目となる世界唯一のアジア・トレンドブック「ASIA COLOR TREND BOOK」。アジアの社会背景や価値観、最先端のアート&デザインなどに注目した記事や、アジア独特の感性を表現したカラーパレットの提案、触れて感じることができる多種多様な素材サンプルをセレクトした、アジアのトレンドを全方位的に編集した本です。
ASIA COLOR TREND BOOKは、素材と人とをつなげる本でもあります。例えば、「ASIA COLOR TREND BOOK 2019-20」に掲載されている、日本の航空・宇宙ハニカム製造メーカー「昭和飛行機工業」による小惑星探査機の構造材「アルミ製ハニカム」。このハニカムを透明な円形のアクリルの中に閉じ込めたイヤリング「Honeycomb+Gum/GUM EARRING」は、素材とクリエイターの出会いによって生まれました。本来人の目に触れることのない、工業用の材料に過ぎなかったこの素材が、クリエイターと出会い、触れられることで、思わず見惚れてしまうような独特な光を放つアクセサリへと変貌を遂げたのです)。
アジアの様々な国で作られた素材をトレンドテーマを定め、収集し、組み合わせた時に生まれる、予想外の、神秘的な、今までにない作品が生まれる奇跡。「ASIA COLOR TREND BOOK」はそんな可能性を内に秘めた、素材と人とをつなげるトレンドブックなのです。
バイアスを取り除いて
今回のテーマ「感性を刺激するマテリアル」。「感性」と一口に言ってもその種類は無限大です。触って楽しい、見て楽しいなどなど…。このように、定義することが困難な、どのようなものか見えづらい「感性」を刺激する素材はどのようにして生まれたのでしょうか?そこには、バイアスのかかっていない、新しいけれど共感できる視点がありました。
Case: 02 「素人的」観点から生まれ
触れた時のプニプニとした柔らかい感触が刺激的なシリコンゲル素材「αGEL」。衝撃吸収に特化し、防振・放熱・防水などの機能も備えた素材で、スポーツシューズや自動車、産業機器、エレクトロニクス製品、介護福祉用品など、私たちの身の回りのあらゆるところに活用されています。種類も豊富で、柔らかさ・弾力性も様々です。αGELの営業を行うタイカの内田さんは、機能性で評価の高いこの素材が、商談の場で第一声に「やわらかい!気持ちいい」という感想を抱く人が多い事に着目しました。
内田さんは、その「素人的」な感想は強みになるのではないかと考え、「やわらかさ」という直感的な特性を全面に感じることができる、コミュニケーションツールキットをMTRL TOKYOとコラボレーションしての制作したそうです。その事例は、下記にまとまっていますので、是非ご覧ください。
【事例記事】αGEL 触感の新しい評価基準とコミュニケーションツールをデザイン
https://loftwork.com/jp/project/20190313_taica
Case: 03 素材の特性を変えてヒット:マスキングカラー
描いて、乾くと、はがせて、また貼れる、ペンタイプの水性塗料、マスキングカラー。元は自動車の塗装用に生まれた塗料でした。その従来の塗料と異なるのは、「はがせる」という特性。この従来の特性を変え、「はがせる」ようにすることで、マスキングカラーはヒットしました。一見、塗料には見えにくいマスキングカラー。しかし、そのような従来のものとは異なる見た目の素材、いわば未知の素材を見る時の「何だろう?」といったワクワク感がこの製品の鍵となったのです。
新しい市場を開拓するために
Case: 04 ひとりひとりのアイデンティティに寄り添った商品開発:卓上真空成機V.former
子供でも簡単に短時間で立体物の型を取ることができる3D造形機「卓上真空成形機 V.former」。一般的な真空成形機から余分な機能を削ぎ落とし、シンプルな機構にすることで、100Vという低電圧で稼働し、30万円以下という価格に設定することを可能にしました。真空加工の瞬間を見ることができ、その一瞬にして型が取られる様子は飽きることなく何回でも見ることができます。そんな、造形している間もワクワクが止まらないこの機械は一体どのようにして生まれたのでしょうか?
元々製造業ではなく、加工業を営んでいた株式会社ラヤマパックの羅山さん。ある時羅山さんは、加工業には限界があると感じました。もっと社員さんが楽しみながら働けるようにするにはどうしたらいいのか…。そう考えた羅山さんは、「社員自身が楽しくてついつい人に紹介したくなってしまう製品があればいいのではないか」と考えました。
そんな羅山さんの発想から生まれた製品がこの「卓上真空成形機 V.former」です。「卓上真空成形機 V.formerの好きなところは、子供の笑顔が見れるところ」と話す羅山さん。社員さんにとどまらず、いろんな人の笑顔が見れるこの真空成形機は今後一体どんなワクワクするアイデアを生みだしていくのでしょう。
飲んで、語って、発見して
Material Meetup TOKYO vol.02 「感性を刺激する素材」いかがでしたか?当日は、100名近い来場者で賑わい、一歩進むのもやっとでした。
実際に触って刺激され、アイデアや意見が飛び交い、飲んで語って、会場は2月の夜の寒さを忘れてしまうほどの熱気に包まれていました。あらゆるところで素材の新たな側面が開拓され、刺激が生まれたのではないでしょうか。人と素材のつながりに限らず、人と人とのつながりも生まれるのはMaterial Meetup ならではだと思います。
次はいったいどんな素材やアイデアが私たちの感性を刺激してくれるのでしょう。
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FabCafe編集部
FabCafe PRチームを中心に作成した記事です。
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