Event report

2020.12.9

焚き火を哲学してみたら…?現代の都市にこそ、焚き火が必要だ!

COUNTER POINT第1期「焚き火LAB」活動報告。

服部 木綿子

株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター

個人の偏愛と衝動を応援するレジデンスプログラムCOUNTER POINT byFabCafe Kyoto。第1期メンバーである「焚き火LAB」によるイベントが開催されました。イベントの熱をそのままに、参加メンバーのイベント直後のほやほやコメントをお届けします!

  • 越前屋 俵太

    京大変人講座ディレクター

    探偵!ナイトスクープ」「世界ふしぎ発見!」などの人気番組で活躍。芸能プロダクションに所属せず、企画・演出・制作もこなす芸能界の変人。現在は関西大学、和歌山大学、高知大学、京都芸術大学、京都外国語大学で教鞭をとるほか、書道家「俵越山」など活動は多岐にわたる。

    探偵!ナイトスクープ」「世界ふしぎ発見!」などの人気番組で活躍。芸能プロダクションに所属せず、企画・演出・制作もこなす芸能界の変人。現在は関西大学、和歌山大学、高知大学、京都芸術大学、京都外国語大学で教鞭をとるほか、書道家「俵越山」など活動は多岐にわたる。

    今回のイベントで1番伝えたかったこと

    昨今のキャンプ批判をしてしまったのは申し訳なかったが…。自分自身、20年前には原先生がおっしゃっていた、火はなんだろうと哲学していました。それはつまり自分自身だけではなくて、昔の人もそう考えていたのだなということで、焚き火には現代のアウトドアブームのはるか昔から人を魅了する、させられるものがあったということと、原先生が引用していた「火の両義性」の話しこそ、今日伝えたかったことです。

    イベントを実施したことで新しくわかったこと

    焚き火を通した体験や感覚は、山が身近にない都会の人では体感しようがないと思っていました。山の中で、炉づくりから行い、かつ直火でやってなんぼだと。しかし、焚き火を通したコミュニケーションこそ現代社会に必要だと考えていた焚き火LABメンバーが、簡易でも良いので街でやろうとしているのは改めて素敵だと思う。入り口は広くてよい。その必要性を、今の社会、仕事に追われてボーッとできない人にこそ、改めてボーッとすることの重要性を認識した。
    それと、椎名誠は間違いなくバシュラール(編集部注:今回、原先生が焚き火を哲学する上で度々引用したフランスの哲学者)を読んでいたと思います。

    最後に、原先生の知識量は半端ないと感じさせられました。

イベントで振る舞う焼き芋をするために、イベント当日の昼間、京都で焚き火を行う焚き火LABのメンバー。

「火を前にした夢想を欠いては火の真に人間的な、そして最初の使用を無駄にすることになる。」byバシュラール…。原先生が、このような哲学者の言葉の引用を行い、越前屋さんが面白可笑しくつっこんでいくスタイルでトークが進行されました。

  • 原 一樹

    京都外国語大学 国際貢献学部グローバル観光学科教授

    京都外国語大学国際貢献学部グローバル観光学科教授・副学科長。長崎県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻哲学専門分野博士課程単位取得満期退学。20世紀フランスの哲学者ジル・ドゥルーズの哲学の研究を出発点とし、近年は旅や観光の持つ本質・価値に関する理論的研究や、国内外の観光現象に関する調査にも携わっている。共著・共訳書『ドゥルーズ/ガタリの現在』(平凡社)、『哲学すること』(中央公論新社)、『ドゥルーズ 思考のパッション』(河出書房新社)、『地域創造のための観光マネジメント講座』(学芸出版社)、『観光研究のキーコンセプト』(現代図書)など。

    京都外国語大学国際貢献学部グローバル観光学科教授・副学科長。長崎県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻哲学専門分野博士課程単位取得満期退学。20世紀フランスの哲学者ジル・ドゥルーズの哲学の研究を出発点とし、近年は旅や観光の持つ本質・価値に関する理論的研究や、国内外の観光現象に関する調査にも携わっている。共著・共訳書『ドゥルーズ/ガタリの現在』(平凡社)、『哲学すること』(中央公論新社)、『ドゥルーズ 思考のパッション』(河出書房新社)、『地域創造のための観光マネジメント講座』(学芸出版社)、『観光研究のキーコンセプト』(現代図書)など。

今回のイベントで1番伝えたかったこと

焚き火したほうがいいかもしれないと思いました。しろとは言わないけど。
あえて言えば、今のコミュニケーションモードと別のモードを開発することは大切だと思います。そういう意味では、焚き火LABのアプローチには可能性はあるのではないでしょうか。

※編集部注:原さんはコメントほとんどの語尾に「まあ私は焚き火やったことないんだけどね笑」と言っていました。笑

イベントを実施したことで新しくわかったこと

俵太さんや実際に焚き火をやった人の体験談を聞いて、「焚き火は人を救う」という、哲学者のバシュラールが述べていたことは本当だったんだということに気づけ、そこに感動しました。焚き火で人生が浄化された事実があること、そこを知れたのが一番良かったです。(淀川での焚き火の写真を見て)背景に見える最先端の都市の風景と、焚き火という原初の風景との対比が良いですね。

焚き火LABとCOUNTER POINTのメンバーが淀川で実施した焚き火の写真を背に行われた交流会。次回は、京都の街で焚き火を囲んで開催したい!

  • 橋本 由嗣

    焚き火ラボ

    大阪出身。おやつはスルメとドクダミ茶、1年間を通して腰蓑一丁で過ごす北松尾インディアン幼稚園出身。大学時代にはイギリスへ留学、バックパッカーとしてヨーロッパを巡る。帰国後はリクルート→雑誌編集者を経て、現在は大阪の複合施設にてイベントの企画・推進を担当。

    幼少に頃から外遊びが好きで、火遊び、川遊び、盆踊りにキャンプフェス、山宴会などなど、仲間を巻き込んで遊ぶことが生きがい。40歳を機に新たな挑戦として焚火ラボを始動、街中で焚き火ライフを楽しめる仕組みとコミュニティ作りに取り組んでいます。

    大阪出身。おやつはスルメとドクダミ茶、1年間を通して腰蓑一丁で過ごす北松尾インディアン幼稚園出身。大学時代にはイギリスへ留学、バックパッカーとしてヨーロッパを巡る。帰国後はリクルート→雑誌編集者を経て、現在は大阪の複合施設にてイベントの企画・推進を担当。

    幼少に頃から外遊びが好きで、火遊び、川遊び、盆踊りにキャンプフェス、山宴会などなど、仲間を巻き込んで遊ぶことが生きがい。40歳を機に新たな挑戦として焚火ラボを始動、街中で焚き火ライフを楽しめる仕組みとコミュニティ作りに取り組んでいます。

今回のイベントで1番伝えたかったこと

今回は、焚き火を哲学するというテーマで、かつ屋内開催だったので、理解してもらうのに少し難しいところもあったかもしれないですが、焚き火というものが媒介になって、昔から今に至るまでいろんな人にいろんなことを思わせてきたということが伝わったら良いなと思います。今日来ていた人もそれぞれ「焚き火」というキーワードに何かしらピンとした方たちだったのでで、少しでもネタになれば嬉しいです。

イベントを実施したことで新しくわかったこと

最後の交流会で何人もの来場者と話しをして、とても焚き火が好きだったり自分もやってみたいという思いや、盛り上げるために応援してくれる人の多さに気づけました。また、既に街で焚き火が出来る場所の情報や、焚き火を実行するための工夫の体験談も聞くことができ、人が集まることで生まれることの凄さ、面白さに改めて気付かされました。

このイベントを終えての今後の活動や展望について聞かせてください

次回は屋外で焚き火をしながら、実際に火を前にした形でイベントをやりたい。元々は半分ノリでCOUNTER POINTに応募するために、「焚き火LAB」って言いだしてやってみたが、思った以上の反響がありました。また、今日の交流会でも、情報提供してくれたり次回も行きたいと言ってくれる人がたくさんいました。とても嬉しいことですし、自分ももっと腰をすえて、期待に答えられるような面白い活動をやっていきたいです。まずは(三密を避けられる形で)屋外の新年会リアル焚き火ですかね。あとはぜひ原先生に、初焚き火をやってもらいたいですね。

トークセッションの様子を、COUNTER POINTに参加している漫画家のみかんありささんがグラフィックレコーディング。COUNTER POINTの別のプロジェクト同士のこういった交流も発生している。

  • 服部 木綿子

    株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター

    神戸生まれ神戸育ち。岡山で農林業や狩猟がすぐそばにある田舎暮らしを約10年に渡り経験。その中で2軒の遊休施設をゲストハウス(あわくら温泉 元湯・岡山県西粟倉村/mamma・香川県豊島)として再生し、自らも運営の第一線に立った。その後、神戸の農産物などを販売する「FARMSTAND」で、マネージャーとして店舗の運営に携るなど、ローカルのコミュニティ拠点づくりに関わってきた。2020年2月ロフトワーク入社。感性を頼りに現場どっぷりで培ってきた経験値に、ロフトワーク流のロジカルな手法を掛け合わせたアウトプットが出来る日を目指している。趣味は、自分の人生と感覚を観察して、文章を書くこと。イラストも描く。
    https://loftwork.com/jp/people/yuko_hattori

    神戸生まれ神戸育ち。岡山で農林業や狩猟がすぐそばにある田舎暮らしを約10年に渡り経験。その中で2軒の遊休施設をゲストハウス(あわくら温泉 元湯・岡山県西粟倉村/mamma・香川県豊島)として再生し、自らも運営の第一線に立った。その後、神戸の農産物などを販売する「FARMSTAND」で、マネージャーとして店舗の運営に携るなど、ローカルのコミュニティ拠点づくりに関わってきた。2020年2月ロフトワーク入社。感性を頼りに現場どっぷりで培ってきた経験値に、ロフトワーク流のロジカルな手法を掛け合わせたアウトプットが出来る日を目指している。趣味は、自分の人生と感覚を観察して、文章を書くこと。イラストも描く。
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イベントを実施したことで新しくわかったこと

今回、COUNTER POINTの運営チームとして、焚き火LABの橋本さんと共にこのイベントを企画しました。正直に告白すると、私自身は山村で毎日何かしら火を燃やしていた生活をしていたことがあって、それがあまりに日常的なことゆえに心踊るものではなかったので、当初は「焚き火LAB」の活動趣旨に対して、面白さを感じられていない部分がありました。(俵太さんが「焚き火というのは、山で自分で炉を作ってするものだ」と言っていた感覚と重なります)
しかし、企画を作る過程で、都市の灯りを背景に淀川で焚き火をした経験や、初めての焚き火に感動していた「焚き火女子」の2人の話、参加者の皆さんの反応を通じて、都市で焚き火が合法的に、気軽に出来るようにチャレンジする意義をとても感じました。焚き火を体感したことのない原先生が、「バシュラールの言っていたことは本当だったんだ」と気づいたように、「私たちが体感していることは、哲学者も語ってきていたんだ」と気づくこともできました。

「火を前にすると、人見知りの自分も鎧を脱いでコミュニケーション出来た」「居酒屋に行くように焚き火を楽しみたい」など等身大の体験談を語った、初めての焚火女子トークでした。

COUNTER POINT第1期の活動もちょうど折り返し地点となりました。冬本番に入り、ますます火の暖かさが身に沁みるこれからのシーズンに、彼らが後半に向けてどんな活動を繰り広げていくのか、ますます楽しみです!

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  • 服部 木綿子

    株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター

    神戸生まれ神戸育ち。岡山で農林業や狩猟がすぐそばにある田舎暮らしを約10年に渡り経験。その中で2軒の遊休施設をゲストハウス(あわくら温泉 元湯・岡山県西粟倉村/mamma・香川県豊島)として再生し、自らも運営の第一線に立った。その後、神戸の農産物などを販売する「FARMSTAND」で、マネージャーとして店舗の運営に携るなど、ローカルのコミュニティ拠点づくりに関わってきた。2020年2月ロフトワーク入社。感性を頼りに現場どっぷりで培ってきた経験値に、ロフトワーク流のロジカルな手法を掛け合わせたアウトプットが出来る日を目指している。趣味は、自分の人生と感覚を観察して、文章を書くこと。イラストも描く。
    https://loftwork.com/jp/people/yuko_hattori

    神戸生まれ神戸育ち。岡山で農林業や狩猟がすぐそばにある田舎暮らしを約10年に渡り経験。その中で2軒の遊休施設をゲストハウス(あわくら温泉 元湯・岡山県西粟倉村/mamma・香川県豊島)として再生し、自らも運営の第一線に立った。その後、神戸の農産物などを販売する「FARMSTAND」で、マネージャーとして店舗の運営に携るなど、ローカルのコミュニティ拠点づくりに関わってきた。2020年2月ロフトワーク入社。感性を頼りに現場どっぷりで培ってきた経験値に、ロフトワーク流のロジカルな手法を掛け合わせたアウトプットが出来る日を目指している。趣味は、自分の人生と感覚を観察して、文章を書くこと。イラストも描く。
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