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スリランカの紅茶畑からーFabCafe Kyotoの紅茶について

スリランカの紅茶畑からーFabCafe Kyotoの紅茶について

FabCafe Kyotoでは、一つ一つのメニューにこだわりを持って仕入をしています。お店で提供している紅茶やチャイ、ハーブティーの原料は、スリランカにある紅茶農園から届けられます。今回、仕入先の岩村紅茶さんの買い付けに同行した際のレポートをお送りします。

ユネスコ世界遺産の熱帯雨林にある「ルンビニ農園」

日本からのフライトは約10時間。まずは首都のコロンボから車で2時間かけ、大航海時代の面影を残す都市、ゴールを目指しました。宿泊のためにホテルに滞在したのも束の間、翌朝の5時半に出発し、3時間かけてルンビニ農園を目指しました。

スリランカ南部に位置するルンビニ渓谷は、ユネスコ世界遺産に登録されているシンハラジャ熱帯雨林の中にあります。国の機関であるスリランカ紅茶局は、地域の「アペラシオン(原産地統制名称)」を厳格に設けており、ルンビニ農園は標高2,000フィート(670m)以下のローグロウンティーに属しています。茶葉は大きく、渋みは少なく、水食は濃い赤みを帯びたオレンジ色をしているのが特徴です。

太陽が輝いていたと思ったら、突然のスコールで雨がザーザー降ったり、あれよあれよという間に白い霧に包まれたり、この多様性に富んだ気候が個性豊かな茶葉を育んでいることを肌で感じることができました。

コーヒー界ではサードウエーブが巻き起こり、シングルオリジンという農場単位でつくられた豆に注目が集まりましたが、ルンビニ農園でつくられる紅茶は、産地のアイデンティティを明確に表現したシングルオリジンティー。創業者のジャヤワルダーナ氏は自然の生態系を守るように、およそ200名の従業員も持続可能に働けるよう福利厚生施設を充実させ、地域一帯となって経済の恩恵を受けられる経営方針をとっています。

ヒンドゥーの神様に祈りを捧げ、いざ茶摘み

スリランカは仏教徒が7割を占めていますが、ヒンドゥー教徒、イスラム教徒、キリスト教徒と多文化であり、茶園や製茶工場にそれぞれの神様が祀られていました。お茶摘みをするのはヒンドゥーの女性達でしたので、茶園に入る前に神様に挨拶をし、祈りを捧げました。

それから、帽子と茶葉を入れるカゴが一体になったものを装着し茶畑の中へ。カラフルな服を纏ったお茶摘みレディ達に「この辺を摘んで。それは芽が小さいからまだ取ったらダメ」というジェスチャーでコミュニケーションしながら、腰丈くらいある茶の木を掻き分け、一芯二葉のやわらかい芽を黙々と摘み取ります。雨上がりのムシムシした空気に虫が飛んできたりして、熱帯雨林に育つ茶葉の気持ちと一体化できたところでお茶摘みは終了。ナタを器用に駆使してココナッツに穴を開けくれて、天然のココナッツジュースで喉を潤しました。それにしても、お茶摘みレディたちは、午前中に50キロも手摘みをするというのですから、すごい集中力とスキルだなあと感心するばかりでした。

農園内にある製茶工場で試飲をして買い付け

お茶摘みレディたちが摘んだ茶葉は、茶園の敷地内にある製茶場へ納品されます。そこで、一人当たりの収穫量を測り、記録され賃金が支払われます。最終的にどのような種類の紅茶に仕上げたいかによって多少の違いはありますが、基本的に下記の順で製茶されます。

1)萎凋(いちょう)
茶葉に含まれる水分を40−50%くらい飛ばし、生の葉を萎れさせます葉の中の成分が変化することでフルーティーな酸味のある香りが出てきます。

2)揉捻(じゅうねん)
葉の組織や細胞を壊し、形を整えるために圧力をかけて葉を揉みます。圧力をかけて酸化酵素を含んだ茶汁を出すことで、酸化発酵を促します。

3)玉解き・篩い分け(たまどき・ふるいわけ)
揉捻した茶葉の塊をほどくため、ふるいに掛けます。その後の発酵工程のために茶葉を均一にします。

4)酸化発酵
茶葉を机の上に均質に平置きし、湿度と温度管理をしながら酸化発酵を促します。茶葉がだんだんと濃い茶色に変化していきます。

5)乾燥
熱風で茶葉を乾燥させ、発酵を止めます。この時点で茶葉の水分量は3−5%です。

6)仕上げ
余計な茎などを取り除き、ふるいにかけてグレード別に分けます。 茶葉の見た目やサイズ、形状の主な等級区分は以下の通りです。

【フルリーフ】オースドックス製法で1枚の葉がそのまま紅茶になったもの
オレンジペコ(OP)、ペコ(P)、フラワリー・ブロークン・オレンジペコ・ファニングス・エクストラスペシャル(FBOPF EX. S.P.)、

【ブロークン】オースドックス製法で葉を刻んで紅茶になったもの
フラワリー・ブロークン・オレンジペコ(FBOP)、ブロークン・オレンジペコー(BOP)

【ファニングス】ブロークンよりも小さい葉
ファニングス(F)、ブロークン・オレンジペコ・ファニングス(BOFP)

※上記以外のものはダストという粉の紅茶になります。

Fab Cafe Kyotoが仕入れているものは、フラワリー・ブロークン・オレンジペコ(FBOP)で芳醇な香りが特徴です。

買い付けの際は、テーブルの上にずらっと並べられた試飲カップを全て試飲をし、何を購入するか決めます。この時は45種類ほどありました。

試飲テーブルの脇にふと目をやると、棚に乗り切れないくらいの賞状やトロフィーがありました。世界のティーショーで表彰されたものや、スリランカで最も輸出をした紅茶農園として称えられたものです。

スリランカ紅茶局は主要な産地を7つ決めていますが、ルンビニ農園はそこには属していません。創業者のジャヤワルダーナ氏が地元のために30年の年月をかけ、世界的な評価をされる農園になったのです。その熱意が一杯の紅茶に表現されるかと思うと、味わいかたもまた違ったものになったらうれしいです。

(テキスト・写真:岡島悦代 協力:岩村紅茶

 

岡島悦代(コミュニケーションデザイナー)

レコード会社や銀行にてデザイン、WEBコンテンツの企画製作に携わる。その後、家業の新規事業としてカフェ事業を構築。自由大学では6年間キュレーターとして講義をプロデュースし、のべ1万人の受講生を送りだす。その間に三代目学長も務め、毎年夏に開催する「クリエイティブキャンプ in ポートランド」の企画運営、書籍『TRUEPORTLAND2014,2015』の現地取材・編集を担当。2018年10月から1年間FabCafe Kyotoの編集長となる。個人や組織をさらなるステージにアップデートする事が仕事。