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2021.8.31

雨ニモマケズ、コロナニモマケズ、実験は続く。COUNTER POINT第5期の活動をチラ見せ

浦野 奈美

SPCS / FabCafe Kyoto

こんにちは、FabCafe Kyotoの浦野です。全国的にコロナ禍が続く日本。精神的にも肉体的にも厳しいことが多い中、いや、だからこそ、COUNTER POINTは止まりません。できないことがある時こそ、新しいことにチャレンジし、遊び心を忘れず、活動し続けることが大切だと思うから。

もちろん、活動によっては一筋縄では行かないことも多いのは事実。でも、第5期となる本プログラムのメンバーのみなさんは、工夫をしながら精力的に取り組んでいます。3ヶ月間の活動の3分の1が過ぎた今、みなさんがどんな実験をしているかレポートします!

第4期に「テクノロジーの視点は日常にどのような変化をもたらすのか」というテーマで活動した川端さん。新たなプロジェクトで応募いただき、初めての2期連続参加メンバーとなりました。今期は「鬼火」をテーマに実験しようとしています。このテーマに取り組みたいと思ったきっかけは、あるお婆さんとの出会いなのだとか。

「FabCafe Kyotoから京都駅に帰る途中に一人のおばあちゃんに出会ったんです。おばあちゃんは道路に佇んでいたので、大丈夫ですか?と声を掛けたところ、意味深な事を言い始めたんです。それがこの言葉。『人は死に魂となり、風によりまた帰ってくる。風により帰ってきた魂は鬼火になるものがある。』風を感じると亡くなった身内が帰ってくるのを感じる、という意図だったようです。おばあちゃんと別れ、帰りの電車の中でこの言葉を考え調べていると地方によってはお盆になると風鈴を窓に飾る文化があるのを知りました。これは先祖が風にのって帰ってくるのを音で解る様にしているのだとか。この出来事があって、鬼火をテーマに活動してみたくなったんです」

なんとファンタジーな出来事でしょう!ちなみに、プロジェクト名にもなっている「もののけ」という言葉は、そもそも「もの(=鬼や精霊、魂など明確な実態を伴わない感覚的な存在)」と「け(=様々な社会不安や疫病など)」で構成されているたとえを示す言葉なのだそうで、調べているうちに心霊写真を思い出したのだそう。心霊写真はカメラを通して見えるもの。川端さんは、以前からテクノロジーを通して普段見えないものを見ようとする活動を続けているので、もしかしたら、川端さんのテクノロジーの視点で見えるものがあるのでは?と思い、このテーマで活動しようと決めたのだそうです。

今回はもののけの中でも特に「鬼火」にフィーチャーする川端さん。もののけの「もの」はきっと流動的なものなのでは?と考えていて、それらがどこかに止まった瞬間を捉えるような作品に落とし込めたらと、実験を進めているのだそう。縄文時代に「もの」に対する考え方が残っているということで、さまざまな縄文系神社を尋ねたり、もののけやものというものについてリサーチを進めたり、実験をはじめているとのこと。もしかしたら、動画も作るかも?とのこと。上映をお楽しみに!

▼ チームメンバー
川端 渉(研究員・アーティスト)

実は川端さん、第4期活動中にすでに鬼火の実験を始めていて、私も体験させてもらいました!抵抗やLEDライトをランダムに積み、適当に電気を通すと、ランダムに光るんです。コントロールできない儚い光の瞬き。まるで電子部品の死骸から火が出ているような様を鬼火と重ねた実験で、綺麗だし面白かったです。動画で見せたい。

  • 書籍や実際に神社などに足を運んでリサーチしているという川端さん。縄文の死生観にどんどんのめり込んでいるとのこと…

  • 今同時に取り組んでいるのは、同期の「インクルーシブなアソビ」チームのシャボン玉スイッチ作り。第4期の「選択性を拡張する襯衣(しんい)」プロジェクトの安田さんも巻き込もうとしている川端さん、活動をクロスオーバーさせまくりです。

  • 同じく「インクルーシブなアソビ」のシャボン玉スイッチ改造中の様子。

身の回りにあるモチーフを、他のものに擬態するようなデザインのグラフィックを作りアートブックにする活動を行っている小瀬古さん。2016年から年に1冊程度のペースで出版されていて、どれもとてもシズル感溢れるカラフルな作品ばかりです。ちなみに、これまでのアートブックは、現在FabCafe Kyotoの店頭でも販売していますので、ぜひお近くの方はお手にとってご覧ください。

「gitai」は、身の回りにあるモチーフにデザインの力で擬態させるアートブックシリーズ。左上はフィンランドの地図を横にして赤く塗って霜降りの肉に擬態させた作品。右上は、鍵を上下反転させて都市に擬態させたもの。左下は地図を年輪に擬態させたもの。右下は惑星をハムに擬態させたもの。

これまでグラフィック上でしか表現していなかったとのことで、COUNTER POINTでは、「モノ」で表現することをチャレンジしたいのだそう。小瀬古さんは入居直後にUVプリンタの講習会を受け、最近作った「美味しい惑星」というアートブックのモチーフである目玉焼き(に擬態した月と地球)をバリエーションを変えてアクリルに印刷する実験を繰り返しています。「モノ」にしたことで、ひとつのモチーフでも印刷の仕方やサイズ、置く場所によって見え方が変わり、日々新鮮な発見があって楽しい。UVプリンタとアクリルの相性が想像以上に良かったとのことで、あらゆる目玉焼き実験に勤しんだ1ヶ月だったそうです(笑)

プロジェクト名になっている「おいしいお月見」というのは、お酒に作品を投影して飲む装置を作りたいとのこと。ただ、現在取り組んでいるのは、擬態モチーフを探す活動自体をオープンにしようという試み。擬態させるモチーフを探すツールを作って一般の人も擬態作品作りに参加できるような仕組みを開発しようとしています。もしかしたらワークショップ化したりすることもあるかも??今後の展開も楽しみです!

▼ チームメンバー
小瀬古 智之(小瀬古文庫

最初の1ヶ月間で実験した卵焼き(に擬態した地球と月)をアクリルにUVプリントした実験。何十枚も出力して実験してました。小瀬古さんの遊び心がかわいい。私は個人的に、焼き方バリエーション別の目玉焼きのコースターを売ってくれたら、買いたいです。

障害をもったお子さんを持つヤマダマヤさんと清水千明さん。おふたりは、「ミラスタ!つながる”こうえん”プロジェクト」という団体を立ち上げて、京都にインクルーシブ公園(障害があってもなくても、どんな人でもみんなが楽しめる公園)の設立を目指して活動しています。その第一歩として、誰もが楽しめる遊びとは、どんなものなのか実験したい、ということで、COUNTER POINTに参加しています。

活動のきっけかとなった、山田さんの息子さんが以前通っていた療育園という施設では、障害のある子とない子が混ざり合って一緒に過ごしていましたといいます。そこでは、障害があるということは特別ではなく、好きなことが一緒なら遊ぶし、苦手なことを助けたり応援することが自然と行われていたといいます。でも小学校に上がると、障害のある子とない子は明確に分けられ、その後の人生で関わることはすごく稀になってしまうのが、現在の日本社会。小さな頃からみんなが集まる公園に色んな子どもがいて、お互いの違いを自然に受け入れていけば、その子たちが大きくなった時には、社会全体がインクルーシブになるはず。

「善意」や「社会のために」だけでは、本当の意味で人を動かすのは難しいと、私は日々感じています。だから山田さんたちの「遊び」で硬直した関係をほぐそうという活動には心から共感するし、そういう、直感的なことを一緒に楽しめるものを作る実験こそ、COUNTER POINTで色々な人を巻き込みながら実験できるというのは、嬉しい。

現在は主に2つの活動を進めています。ひとつはシャボン玉プロジェクト。シャボン玉を「吹く」というのが難しい子にとって、いくらシャボン玉が綺麗でも自分で作れないのが障害とのこと。そこで、シャボン玉を吹くスイッチを作ってみんなで遊べないか実験しているのだそう。早速「もののけ」の川端さん(ユーザーインターフェースの研究者)と、シャボン玉装置を作る実験とワークショップの準備が進んでいるようです。

もうひとつは、毎年世界で同時開催されているGlobal Goals Jam(通称GGJ)という、2日間のデザインスプリントにプロジェクトオーナーとして参加すること。GGJは、デザイン思考による課題解決ワークショップ(デザイナソン)の手法を用いたSDGs達成のための取り組みです。京都内に限らず、あらゆる領域の人々との繋がりや、新たな糸口が見えるかもしれません。

【参加受付中・関連イベント】
Global Goals Jam 2021 Online – 5th Anniversary Asia Trans-local Challenge
FabCafe KyotoがオーガナイズするGGJは、2021年9月18日・19日の2日間にわたって開催します。2021年のテーマは「トランスローカル」。福岡、京都、山口、大分、鹿児島、マレーシア・クアラルンプールなどのプロジェクトを取り上げ、それぞれのローカルな課題に着目し、課題のステークホルダーの視点を共有しながら、参加者は自宅やオフィスからアジア各都市の課題に共に取り組みます。「インクルーシブなアソビ」の活動に興味のある方はもちろん、6つの取り組むテーマが公開されていますので、興味のあるテーマがある方はぜひご参加ください。

▼ チームメンバー
ヤマダマヤ、清水千明

同期「もののけ」プロジェクトの川端さんとZoomで繋ぎながらシャボン玉装置の相談をしている山田さん。作ろうとしているスイッチの仕様やハック方法について、安全面や今後の展開も含めてアドバイスしたり、遠隔で一緒に実験をする川端さんは、もはや、同じチーム!

このプロジェクトを行う柳川は、FabCafe Kyotoを運営するロフトワークのシニアプロデューサー。普段は、企業や行政、大学などの組織の困りごとをクリエイティブに解決するために、企画・提案する仕事をしています。かつ、渋谷で働く人を想いでつなげる渋谷区100人カイギや、人とまちをつなぐ新しい本屋SPBS THE BOXの企画、また、山梨県の富士吉田でワーケーションを切り口にこれからの働き方と暮らしを考えるプロジェクトSHIGOTABIに関わっています。

これまでは、さまざまな人の偏愛や衝動に寄り添い、社会に実装させるプロとして活動してきた彼。特にプロデューサーはクライアントの想いを受け取るプロでバランサーでもあります。普段とは反対側のプレーヤーとしてCOUNTER POINTに参加しようと思ったのはなぜか。それは外でもない、「俺の偏愛がわからない!俺の偏愛見つけたい!」という強い衝動なのだといいます。

これはある意味、運営チーム、いや、FabCafeやその運営企業であるロフトワークに所属する社員140人の多くが共感するところでもあるのではないでしょうか。常に常識を疑い、新しいアクションを考える。でも同時に私たち自身はその間を繋げる翻訳者であり、バランサーであり、接着剤のようにお互いを結びつけ、化学反応を生む環境を整えるべく奔走する役割です。そんな活動を365日していたら、そりゃ、自分の偏愛だってわからなくなります。

柳川も普段は他者の偏愛に寄り添う仕事をしているので、自分自身の衝動に向き合う時間がほしかったといいます。偏愛や衝動への渇望は溢れるも、いざ向き合おうと思ったら、どこにあるのか見えない。だから今回の目的は自分自身の偏愛を探すこと。

具体的なアウトプットは、現時点ではエッセイと独演会(もしくは展示)の予定。さまざまな人へのインタビューをインスピレーションにして、文章を綴るといいます。インタビューをして相手の意図をわかりやすく他者に読ませるための文章を書くのはプロ。だけど、今回は、自分のために自分を曝け出す文章を、感情のままに吐き出すことにチャレンジします。人ごととは思えないチャレンジ。一体どんなアウトプットになるか楽しみです!

▼ チームメンバー
柳川 雄飛

以上、第5期メンバーの様子でした。彼らの活動に巻き込まれたい方も巻き込みたい方も、是非FabCafe Kyotoにお越しください。同時に、COUNTER POINTはこれからも継続してメンバーを募集します。偏愛や衝動をお持ちの方は、ぜひ次回以降の応募をお待ちしています。

関連リンク:
COUNTER POINT by FabCafe Kyoto について
※ 第6期 入居期間:2021年10月22日(金)-1月28日(金)(応募締め切り:10月4日)

Author

  • 浦野 奈美

    SPCS / FabCafe Kyoto

    大学卒業後ロフトワークに入社。渋谷オフィスにてビジネスイベントの企画運営や日本企業と海外大学の産学連携のコミュニティ運営を担当。2020年にはFabCafe Kyotoのレジデンスプログラム「COUNTERPOINT」の立ち上げと運営に従事。また、FabCafeのグローバルネットワークの活動の言語化や他拠点連携の土壌醸成にも奔走中。2022年からは、自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ「SPCS」の立ち上げと企画運営を担当。大学で学んだ社会保障やデンマークのフォルケホイスコーレ、イスラエルのキブツでの生活、そして、かつて料理家の森本桃世さんと共催していた発酵部活などが原体験となって、場の中にカオスをつくることに興味がある。

    大学卒業後ロフトワークに入社。渋谷オフィスにてビジネスイベントの企画運営や日本企業と海外大学の産学連携のコミュニティ運営を担当。2020年にはFabCafe Kyotoのレジデンスプログラム「COUNTERPOINT」の立ち上げと運営に従事。また、FabCafeのグローバルネットワークの活動の言語化や他拠点連携の土壌醸成にも奔走中。2022年からは、自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ「SPCS」の立ち上げと企画運営を担当。大学で学んだ社会保障やデンマークのフォルケホイスコーレ、イスラエルのキブツでの生活、そして、かつて料理家の森本桃世さんと共催していた発酵部活などが原体験となって、場の中にカオスをつくることに興味がある。

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