Column

2024.6.15

【Coffee Magazine】BURUNDI Nyagishiru 「コーヒーが国の歴史と未来を紡ぐ」

BURUNDI
Nyagishiru

FabCafe編集部

FabCafe Tokyoでは世界中の色々なコーヒー豆を、様々なロースターさんたちを通じて定期的にご用意しています。

一杯のコーヒーの背景に広がる様々な物語を皆様にお届けします!
このブログを通してFabCafe Tokyoのコーヒーに興味が湧いたり、コーヒーが好きになってくれたら幸いです。

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BURUNDI
– Nyagishiru –
roasted by
LIGHT UP COFFEE

ナチュラル製法特有の赤ブドウやオレンジの甘酸っぱさと
チョコレートの甘さが余韻として長く味わいです

コーヒーが国の歴史と未来を紡ぐ

今回の豆の生産・精製場所であるニャギシルウォッシングステーション(WS)は、ブルンジ北東部ムインガに位置し、ルブブ国立公園とルブブ川の近くにあります。ニャギシルWSは7000本以上のブルボン種の木が植えられた丘地にあり、周囲の12個の丘からコーヒーチェリーを収穫しています。各ルートには収集所が設置されており、農家が遠距離を歩かなくても、チェリーを届けられるようになっています。このWSに持ち込まれたコーヒーチェリーは、フローティングタンクでシンカーとフローターに分けられ、ハンドソーティング後、平均30日間アフリカンベッド上で乾燥されます。
元々ニャギシルWSは、2014年までコマーシャルコーヒー向けにセミウォッシュドの生産を行い、そのための設備は必要最低限の簡素なものしかありませんでした。しかし2015年にフリーウォッシュドの精製を開始したことで、ニャギシルWSはクオリティの高いコーヒーを生産するWSへと進化したのです。さらに2017年からは、ナチュラルプロセスのロット生産を開始し、現在も品質向上を目指す丁寧な精製処理が続けられています。
熟した果実の豊かな風味と、精製過程から生み出される柔らかい甘さが心地よいニャギシルWSのブルンジコーヒー。一口飲めば、赤ぶどうやオレンジの酸味、イチゴチョコレートの甘味がじんわりと舌一杯に広がり、カカオニブの穏やかな余韻が香ります。

 実はブルンジコーヒーのその豊かな風味の背後には、波乱に満ちた歴史と驚くべき成長が詰まっています。ルワンダの南に位置し、コンゴ民主共和国、タンザニアと接する国「ブルンジ」は、『アフリカの心臓部』とも呼ばれる小さな国です。この地で生産されるコーヒーは、数々の苦難を乗り越えた結果としての奇跡の一杯なのです。

 コーヒーがブルンジに導入されたのは1920年代。当時ベルギーの植民地支配下にあったブルンジでは、コーヒーが主要な収入源として位置付けられていました。1930年代初頭になると、現地の農民たちにはコーヒーの苗木が一人一人配られ、ほとんど資源も支援もない中での栽培が強制的に言い渡されました。しかし、それに対する報酬や待遇はほとんどなく、農民たちは不満と苦労を重ねました。1962年にブルンジは植民地支配から脱却し、コーヒー生産を民営化しましたが、植民地時代の苦しい記憶から品質は低下し、多くのコーヒー農園が放棄されていきました。さらに1972年には、フツ族による政府への反乱が大虐殺へと発展し、20万人以上のフツ族が虐殺されるという悲劇が起きました。その後国家が全てのコーヒー畑と生産を管理するようになりましたが、続く内政の混乱により、品質と生産量は大きく落ち込んでいくばかりでした。内戦が収束に向かう1990年代、経済的に壊滅的な状態にあったブルンジは、国の農業部門の回復と外貨獲得の手段として再びコーヒーに注目し始めます。

このコーヒー産業の復興に大きく貢献したのが、『国連グルメコーヒー開発可能プロジェクト』と呼ばれる国際的な支援です。1997年から始まったこのプロジェクトは、国連、世界貿易センター、国際コーヒー機構が協力し、コーヒー生産国に技術指導を提供し、品質に見合った価格での需要を喚起することを目指しました。ブルンジの他にも、パプアニューギニア、ウガンダなどの国々が高品質のコーヒーを生産できるように支援され、それぞれの土地に適応する在来種(主にティピカ・ブルボン系統種)の栽培と、生産方法の開発を進めていきました。この取り組みにより、ブルンジコーヒーは近年、品質向上に成功し、持続可能な農業慣行を導入し、環境保護と経済的な持続可能性を両立させているのみならず、国際的なコーヒーの大会で高い評価を受けています。

このように、ブルンジのコーヒー産業は、植民地支配、内戦、経済的不安定という困難な歴史を乗り越えて復興と成長を続けています。ブルンジのコーヒーは、国際市場での地位を確立し、その品質に対する評価も高まりつつあります。この成功は、ブルンジ人の努力と国際的な支援の結果であり、ブルンジのコーヒーを味わうことで、その豊かな風味と共に、ブルンジの歴史と力強さを感じることができるでしょう。

FabCafe バリスタ
篠田花

生産国

BURUNDI

生産地域 Muyinga
生産者 Smallholders
標高 1,500-1,700
精製方法 Natural/Washed
品種 Bourbon

焙煎

LIGHT UP COFFEE
コメント

ナチュラル製法特有の赤ブドウやオレンジの甘酸っぱさと、
チョコレートの甘さが余韻として長く続く味わいです。

  • LIGHT UP COFFEE

    おいしいコーヒーで、 毎日を明るく照らす

    LIGHT UP COFFEEは、栽培・収穫・精製に手間をかけてつくられた、個性あふれるシングルオリジンコーヒーを仕入れ焙煎し、日常に根付くようお届けしています。

    おいしいコーヒーがあることで1日が少し明るく感じる、そんな豊かな毎日をコーヒーを通してお伝えしています。

    URL : https://lightupcoffee.com/

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