FabCafe Tokyoでは世界中の色々なコーヒー豆を、様々なロースターさんたちを通じて定期的にご用意しています。
一杯のコーヒーの背景に広がる様々な物語を皆様にお届けします!
このブログを通してFabCafe Tokyoのコーヒーに興味が湧いたり、コーヒーが好きになってくれたら幸いです。
皆さんのFabCafeでのコーヒーライフがもっと素敵な時間になりますように!
COLOMBIA
– Buena Vista –
roasted by
LIGHT UP COFFEE
すだちやネーブルオレンジを思わせる爽やかな果実感の後に、カラメリゼしたりんごの印象が膨らみ穏やかながらしっかりとした骨格を保ちつつ余韻まで長く続く。
収穫期という視点から見る、生産者のこだわり
今回ご紹介するのは、コロンビアのトリマ県プラナダス市に位置する「ブエナビスタ農園」で生産されたスペシャルティコーヒー。この農園を運営するのは、世界中のコーヒー愛好家から高い評価を受けるアストリッド・メディナ氏。標高約1,900メートルの肥沃な土地で栽培されるこのコーヒーは、独特の風味と香りが際立つ一品です。品種はキャスティージョ種を中心とし、フルウォッシュドという精製方法を採用しています。これは、熟したコーヒーチェリーを発酵タンクで処理し、徹底した洗浄と乾燥を行う方法で、クリーンでバランスの取れた味わいを生み出します。ブエナビスタ農園から生まれるコーヒー豆の品質の高さは、細やかな管理と確かな技術によって支えられた物なのです。
アストリッド・メディナ氏は、ブエナビスタ農園を運営するコーヒー生産者です。彼女は14歳の頃から父親の農園でコーヒー栽培に携わり、選別や乾燥作業を手伝う中で技術と知識を深めてきました。2006年に彼女の父親が亡くなった後、3.5ヘクタールの農園を相続。その後、兄弟から追加の土地を購入し、現在では15ヘクタールという広大な農園を所有しています。この農園では、標高1,816メートルという高地特有の気候条件を活かし、カトゥーラ、コロンビア、ゲイシャ、ピンクブルボン、タビなど多様な品種が栽培されています。収穫の際は、完熟したチェリーを一つ一つ丁寧に手摘みで収穫し、収穫後、チェリーは24時間の発酵プロセスを経て3回にわたり洗浄され、その後15~20日間かけて乾燥にかけられます。多種な品種それぞれが異なるフレーバーと特性を持つスペシャルティコーヒーとして世界中で高い評価を受けています。
アストリッド・メディナ氏が農園運営において特に重視していることの一つが、収穫期の分割です。ブエナビスタ農園では、4月~6月、そして10月~12月の年2回の収穫期が設けられており、それぞれの時期において熟したチェリーのみを手摘みで収穫します。この「分割収穫」は、コーヒーの木の生育サイクルと地域の気候条件を考慮したもので、最適なタイミングで収穫を行うことで、品質のばらつきを防ぎます。よって、コーヒー豆が持つポテンシャルを最大限に引き出すことが可能となるのです。
この2回の収穫期のうち、副収穫期を指す「ミタカ(Mitaca)」という概念をご存知でしょうか。ミタカは、メインハーベスト(主収穫期)と同じ木から収穫されるため、品質が非常に高く、また地域特有の気候条件を反映したフレーバーを持つことが特徴として挙げられます。赤道から離れた産地は、雨季と乾季が明確に分かれるため、収穫期にも偏りが見られますが、一方で、赤道付近の産地では雨季と乾季の明確な区別が無く、収穫期が分かれたり通年に及ぶこともあるのです。副収穫期(ミタカ)は、木が再び栄養を蓄積し、最適な状態で熟したチェリーを収穫できる自然なサイクルを活用しており、同じ木が一貫した栄養や気候条件の中で成長することで、味や品質にばらつきが出にくくなるのです。さらに、熟したチェリーだけを手摘みで選別することで、品質をさらに高めることができるため、安定した高品質のコーヒーが生み出されます。特にスペシャルティコーヒー市場では、ミタカの豆が独特の酸味や明るいフレーバープロファイルを持つことから高い評価を受けています。
収穫期を年2回に分けるその背景には、品質管理と持続可能な農業への強いこだわりがあります。まず、コーヒーチェリーが木ごとに異なるタイミングで熟すため、一度に全て収穫するのではなく、熟度に応じて収穫することはとても重要なことです。未熟なチェリーや過熟なチェリーが混ざると、全体の風味バランスが崩れるため、収穫はとても慎重に行われます。また、この分割収穫は気候変動への対応策という意味も持ちます。近年、気候変動により雨季や乾季のタイミングが変化し、収穫に適した時期が従来とは異なる場合があります。ミタカのように収穫期を柔軟に設けることで、農園は変化する気候条件に適応しつつ、質の高い豆を安定的に供給することが可能になります。さらに、ミタカは生産者の経済的安定を支えるという利点もあります。通常の年1回のみの収穫は、市場価格の変動や自然災害によるリスクが大きく、収入の安定性に欠けるというリスクがあります。しかし、年2回の収穫があることで、収入が分散されるため、経済的リスクが軽減され、またミタカは季節労働者の雇用機会を増やすため、地域経済にも良い影響を与えます。安定した雇用は地元の人々の生活を支えるだけではなく、農園とコミュニティの関係を強化する役割も果たします。
このように生産者の細やかな工夫が、多彩なフレーバーを絶えず生み出し続け、さらに変わりゆく自然にも上手に適応し続けているのです。
FabCafe バリスタ
篠田 花
生産国 |
COLOMBIA |
生産地域 | Planadas, Tolima |
標高 | 1,900メートル |
精製方法 | Fully Washed |
品種 | Castillo |
焙煎 |
LIGHT UP COFFEE |
コメント |
すだちやネーブルオレンジを思わせる爽やかな果実感の後に、カラメリゼしたりんごの印象が膨らみ穏やかながらしっかりとした骨格を保ちつつ余韻まで長く続く。 |
-
LIGHT UP COFFEE
おいしいコーヒーで、 毎日を明るく照らす
LIGHT UP COFFEEは、栽培・収穫・精製に手間をかけてつくられた、個性あふれるシングルオリジンコーヒーを仕入れ焙煎し、日常に根付くようお届けしています。
おいしいコーヒーがあることで1日が少し明るく感じる、そんな豊かな毎日をコーヒーを通してお伝えしています。
おいしいコーヒーで、 毎日を明るく照らす
LIGHT UP COFFEEは、栽培・収穫・精製に手間をかけてつくられた、個性あふれるシングルオリジンコーヒーを仕入れ焙煎し、日常に根付くようお届けしています。
おいしいコーヒーがあることで1日が少し明るく感じる、そんな豊かな毎日をコーヒーを通してお伝えしています。
-
篠田花
FabCafe バリスタ
大学在学中、FabCafe FUJIに設立当初からアルバイトとして勤務。
卒業後はFabCafe Tokyoでバリスタとして働きつつも、イベントの企画やマガジン執筆にも挑戦中。
人の言葉に触れること、音楽、猫、海、祖父が好き。大学在学中、FabCafe FUJIに設立当初からアルバイトとして勤務。
卒業後はFabCafe Tokyoでバリスタとして働きつつも、イベントの企画やマガジン執筆にも挑戦中。
人の言葉に触れること、音楽、猫、海、祖父が好き。