Column

2024.11.23

【Coffee Magazine】ETHIOPIA Yirgachefe 「LILCRIB COFFEEより、イェルガチェフェの魅力を一杯に閉じ込めました」

ETHIOPIA
Yirgachefe

篠田花

FabCafe バリスタ

FabCafe Tokyoでは世界中の色々なコーヒー豆を、様々なロースターさんたちを通じて定期的にご用意しています。

一杯のコーヒーの背景に広がる様々な物語を皆様にお届けします!
このブログを通してFabCafe Tokyoのコーヒーに興味が湧いたり、コーヒーが好きになってくれたら幸いです。

皆さんのFabCafeでのコーヒーライフがもっと素敵な時間になりますように!

ETHIOPIA
– Yirgachefe –
roasted by
LILCRIB COFFEE

華やかな香り、レモングラスのような上品な香り、透明感のある優しい味わいのコーヒー



LILCRIB COFFEEの代名詞的コーヒー

今回は、LILCRIB COFFEEのYirgachefeを新しく入荷しました。このコーヒーは、LILCRIB COFFEEのオーナーであるたまきさんの代名詞とも言える一品で、エチオピア産の豆ならではの魅了が詰まっています。私たちFabCafe Tokyoのバリスタも、豆が届いたその日に早速カッピングを行いました。一口含むと、鼻に抜ける柑橘系の爽やかな甘みが広がり、みずみずしい香りが心地よく感じられます。柑橘系と聞くと酸っぱいイメージを抱くかもしれませんが、この豆はフレッシュなレモンの皮を削った時に漂う甘く爽やかな香りを思わせます。その奥には、紅茶のような繊細で華やかな香りが重なり、非常にバランスの取れた味わいです。私自身、寒い冬の朝、こんがりと焼いた香ばしいトーストに濃厚なバターを塗って、このコーヒーを一緒に楽しむのを想像するだけで幸せな気分になります。

エチオピアは「コーヒー発祥の地」として知られており、そのコーヒー産業は数千年にわたる歴史と伝統を持っています。エチオピアは、数多くの固有品種が育つ遺伝的多様性の宝庫であり、コーヒー愛好家やバイヤーから常に注目を集めています。その中でもイェルガチェフェは、エチオピア南部に位置し、小規模ながら世界的に有名なコーヒー生産地です。この地域は、エチオピアのSNNPR(南部諸民族州)に属しており、州全体が50以上の民族の住む多様性に富んだ場所です。ここでは、標高の高い地形と肥沃な土壌を活かして、農業、とりわけコーヒー栽培が盛んに行われています。

 

イェルガチェフェという名前は、現地の言葉で「湿地と草原」を意味し、この地域の特徴をよく表現しています。一年を通じて降水量が多いこの地は、コーヒー栽培に適した環境ですが、とりわけ標高の高いエリアが高品質なコーヒー豆を生み出す要因となっています。標高が1700~2440mにも達するゲテオゾーンの主要なコーヒー生産地には、ディラ、ウェゴナ、イェルガチェフェ、コチャレ、ゲデブといった町があります。この標高の高さにより昼夜の寒暖差が大きくなり、昼間は光合成で栄養を作り、夜は呼吸活動が抑えられるため、栄養がしっかりと蓄えられた豆が育ちます。これにより、酸味や香りが凝縮され、風味豊かでバランスの取れたコーヒーが作られるのです。

 エチオピアの行政区分に目を向けると、州(State)からゾーン(Zone)、ウォレダ(Woreda)、ケベレ(Kebele)へと細分化され、多民族国家としての文化や言語の多様性が反映されています。ゲデオゾーンは、この行政構造の中で州の一部を構成し、地元の主要民族であるゲデオ族が住民の約8割を占めています。また、オモロ族やアムバラ族なども共存し、多文化的なコミュニティを形成しています。通常、エチオピアはゾーンによってコーヒーのラベル分けが成されますが、イェルガチェフェ地域のコーヒーは、ECX(エチオピア商品取扱所)によって「イェルガチェフェ」という統一のラベルが付けられています。このラベリングは、イェルガチェフェが持つブランド力を活用するためです。ゲデオゾーン内の他の地域で生産されたコーヒーも品質や風味が類似しており、統一的に「イェルガチェフェ」として販売することで、バイヤーや消費者の信頼を得るとともに、地域全体の認知度を高める効果があります。

 さらに、イルガチェフェ地域は、ウォッシュド(洗浄式)コーヒーの発祥地という説もあり、1970年代に導入されたウォッシングステーションは現在も多く稼働しています。これらのステーションでは、果肉を取り除いた豆を水に浸して洗浄し、クリーンで明るい味わいのコーヒーを生産しています。この洗浄式プロセスにより、柑橘系の酸味や花のような香りが際立つコーヒーが生まれる一方で、この地域特有の豊富な水資源がその品質を支えています。

FabCafe バリスタ
ジャ・アイダ・ヨウコ



生産国

ETHIOPIA

生産地域 ゲデオ県ゲデブ郡ウォルカ
標高 1,945~1,970m
精製方法 Washed
品種 エチオピア原種

焙煎

LILCRIB COFFEE
コメント

華やかな香り、レモングラスのような上品な香り、透明感のある優しい味わいのコーヒー

 

  • LILCRIBCOFFEE

    ”お店を持たない珈琲屋”

    オーストラリアや日本でのキャリアを経て、2021年より活動開始。自家焙煎で、コーヒー本来が持つ甘さや個性を引き出す表現を行う
    「珈琲を通じて人の繋がりをカタチにする」をテーマに、POPUPや音楽イベントを開催し、ちょっぴりのワクワクと美味しい珈琲をお届けしています。2024年秋に、新しい挑戦をスタート…..

    LILCRIBCOFFEE HP : https://lilcribcoffee.com/

    オーストラリアや日本でのキャリアを経て、2021年より活動開始。自家焙煎で、コーヒー本来が持つ甘さや個性を引き出す表現を行う
    「珈琲を通じて人の繋がりをカタチにする」をテーマに、POPUPや音楽イベントを開催し、ちょっぴりのワクワクと美味しい珈琲をお届けしています。2024年秋に、新しい挑戦をスタート…..

    LILCRIBCOFFEE HP : https://lilcribcoffee.com/

Author

  • 篠田花

    FabCafe バリスタ

    大学在学中、FabCafe FUJIに設立当初からアルバイトとして勤務。
    卒業後はFabCafe Tokyoでバリスタとして働きつつも、イベントの企画やマガジン執筆にも挑戦中。
    人の言葉に触れること、音楽、猫、海、祖父が好き。一番好きな本は坂口安吾の「桜の森の満開の下」

    大学在学中、FabCafe FUJIに設立当初からアルバイトとして勤務。
    卒業後はFabCafe Tokyoでバリスタとして働きつつも、イベントの企画やマガジン執筆にも挑戦中。
    人の言葉に触れること、音楽、猫、海、祖父が好き。一番好きな本は坂口安吾の「桜の森の満開の下」

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