Column

2022.1.3

あそびづくり、目玉焼き惑星、鬼火、偏愛探し。 COUNTER POINT第5期4プロジェクト活動総まとめ

浦野 奈美

SPCS / FabCafe Kyoto

第7期メンバー募集中!【応募締切:1月10日(月)】
※ 第7期 入居期間:2022年1月28日(金)- 4月29日(金)(応募締め切り:2022年1月10日)

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COUNTER POINT by FabCafe Kyoto 

こんにちは。FabCafe Kyotoの浦野です。FabCafe Kyotoのプロジェクト・イン・レジデンス「COUNTER POINT(以下CP)」。定期投稿の活動総まとめ。少し遅くなりましたが、第5期のみなさんの活動記録をお送りします。今回も横のつながりや新たな出会いから企画が広がったり、濃い活動が繰り広げられていました。(期を重ねるごとに、活動の重層的な化学反応が増している気がします)

では、今回も第5期のみなさんの活動をご覧ください。

道端で声をかけたおばあさんが話した一言から生まれた今回のプロジェクト。(開始時点の紹介はこちらを参照)それは、『人は死に魂となり、風によりまた帰ってくる。風により帰ってきた魂は鬼火になるものがある。』という、意味深な発言。この一言が忘れられずリサーチを始めてしまったのがきっかけで、鬼火をテーマに生と死を考えるプロジェクトを始めたのだそうです。

最終的にできたプロジェクトはこちら。死骸に見立てた無数の電子部品(コンデンサーやLED、抵抗など)を積み重ねた作品です。これは不規則に電気が通って光るので、まるで流動体のようなもにに見立てられることができるのではないか、という意図とのこと。ランダムに光る様子に、モノに宿った魂が外に出て生きようとしているような雰囲気が現れます。

Anima from Show Kawabata on Vimeo.

この作品を踏まえて、鬼火は至る所に偏在して、そこここで物質の中に奔り出る、一時物質の中に止まるとき時、姿形をもった生物として現れる。そして、その生物の死とともに元の流動体となって環境に溶け込んでいく感じ。生と死が循環しているのを感じたそうです。たしかに、焚き火を見ているような、ずっと見ていられるような光で、電子部品なのに何か蠢いているような感覚がありました。

今後は1500個の電子部品を10万個に増やそうとしているとのこと。また、愛媛、静岡、山梨、福岡、そして海外でも展示の企画が生まれているらしく、また川端さんのアップデートされた鬼火が見れる機会がきそうです!

なお、ゲスト講師として参加したFabCafeの企画、「Make The Phenomenon」のプロトタイプ展示が1月8日(土)まで開催中。お近くにいらっしゃる方はぜひお立ち寄りくださいませ!

当たり前すぎて無自覚だった現象や知覚にあらためて向き合いながら制作された、「光を用いた体験・表現のデザインアイデア」のプロトタイプ10点が登場。大人も子供も、実際に触れて考えながら、新鮮な気持ちでサイエンスと創造力をつなげるべく、2カ月間ワークを重ねてきた視点をみなさんと共有しています。

展示詳細はこちら>>

同期の「インクルーシブなアソビ」チームのシャボン玉機を作る川端さん。その他、他のチームの企画の相談に積極的に乗るなど、4期に引き続き、巻き込まれ力/かき混ぜ力がスパークしていました。

▼ チームメンバー
川端 渉(研究員・アーティスト)

身の回りにあるモチーフを、他のものに擬態するようなデザインのグラフィックを作りアートブックにする活動を行っている小瀬古さん。2016年から年に1冊程度のペースで出版されていて、どれもとてもシズル感溢れるカラフルな作品ばかりです。フリーランスで活動を始めたことをきっかけに、何か新たなプロジェクトを始めようとCPに参加。普段神奈川の藤沢在住の小瀬古さん、思い切ってLenに滞在しながら3カ月CPに完全集中していました。(開始時点の紹介はこちらを参照

活動の前半は最新作である「おいしいお月見」をモチーフに、デザインのバリエーションを作りながらUVプリンターでアクリルに印刷する作品を日々実験。あらゆるバリエーションの目玉焼き(に見える月と地球の絵)を作成。それまで立体制作ができないのがコンプレックスだったということで、新たな領域に入れた!と話していました。小瀬古さんは、この作品群を引っ提げて大阪のギャラリー、オソブランコにて個展を開催。卵づくしの展示となりました。また、UNKNOWN ASIA 2021SICF21(スパイラル・インディペンデント・クリエイターズ・フェスティバル)にも出展。新作をすごいスピードでアウトプットしているのが印象的でした。ちなみに2022年1月はCPとも連携しているホステル、Lenでも個展を開催予定。こちらもぜひお楽しみに!

  • 2021年10月14日(木)〜24日(日)に大阪のギャラリー、オソブランコで開催した、惑星の卵づくしの個展「moon side up!」。

  • UNKNOWN ASIA 2021での小瀬古さんの展示

卵プロジェクトの次に取り組んだのは、惑星発見器。それまでは、惑星に見えるものを探すのは小瀬古さん自身のみでしたが、惑星を見つけるところから体験できるツールを開発するというもの。CPのメンバーや事務局メンバーとディスカッションしている中でアイデアが生まれて行ったそうです。これは、中心に影が印刷された黒い円盤。これを身近なものに当ててみると、あら不思議、まるで惑星の表面のように見えてくるんです。この惑星発見器は、東京有明にあるパナソニックのクリエイティブミュージアムAkeruEに常設展示されており、子どもたちが実際に使って惑星を見つけられるようになっています。

平面のアートワークが立体プロジェクトになり、参加型のプロジェクトに広がったgitai(擬態)プロジェクト。次の展開も楽しみです!

AkeruEの惑星発見器コーナー

  • 目玉焼きを増産する小瀬古さん。プロジェクト前半はカフェの至る所にどんどん目玉焼きが置かれたり吊るされていた。

  • 第5期の最後には、小瀬古さんの目玉焼きにちなんで、さまざまな卵料理を作りながら交流する機会を実施。過去の期のメンバーも交えて、ここからまた新たな繋がりや企画が生まれた模様。

▼ チームメンバー
小瀬古 智之(小瀬古文庫

障害をもったお子さんを持つヤマダマヤさんと清水千明さん。障害があってもなくても、どんな人でもみんなが楽しめる場所を増やしていきたいという想いから、「ミラスタ!つながる”こうえん”プロジェクト」という団体を立ち上げて、京都にインクルーシブ公園の設立を目指して活動しています。その中で、誰もが楽しめる遊びとはどんなものなのか実験したいということで、COUNTER POINTに参加しました。(開始時点の紹介はこちらを参照

「インクルーシブな遊びを作りたい、と話してたら、色んな人がいろいろ作ってくれた」というマヤさん。たとえば、同期でCOUNTER POINTに参加している川端さんは、シャボン玉で遊びたいのに「吹く」ことができないマヤさんのお子さんのために、Nintendo Switchのジョイコンと100円ショップのシャボン玉機を改造して、遠隔スイッチでシャボン玉が飛ばせるマシーンを作成。また、Global Goals Jam(以下、GGJ)という、世界同時開催されるSDG’sをテーマにしたワークショップにテーマオーナーとして参加。参加者でインタラクティブデザインを学ぶ大学生の小山修平さんは、プロトタイプとして公園で遊べるカホンを作成、皆で公園で遊んだそうです。

  • GGJで作られたカホンやシャボン玉機を持って公園に出かけた

  • GGJのワークでカホンを作った大学生の小山さんは、これがきっかけでCP第6期に参加することに。マヤさんたちと連携しながらあそびの実験を続けている。

活動は京都新聞にも取り上げられた。

公園をいきなり作るのではなく、何かひとつのアイテムがあるだけで色々な人がそれぞれの形で関わっていき、人のネットワークや活動が広がっていったとのこと。おふたりの想いを中心に、川端さんや小山さんをはじめ、何か作れる人がどんどん関わっていく様子が印象的でした。マヤさんと清水さんの活動はこれからも続いていくので、興味のある方はいつでもご連絡ください。

“インクルーシブ”な巻き込み力で、実現させたい公園づくり。 COUNTER POINT第5期「インクルーシブなアソビ」活動報告。

現代アーティスト兼研究者である川端さん、CP第4期参加メンバーであり義肢装具士の安田さん、ユニバーサルデザインのコンサル会社でのデザイナー経験者で現在FabCafe Kyotoを運営するロフトワークのディレクターの村田さんの作戦会議のレポート。それぞれの経験や得意分野を活かしてアツいディスカッションが行われたのが伝わってきます。

▼ チームメンバー
ヤマダマヤ、清水千明

通常はすでに抱えている衝動や偏愛を持って参加するCP。でも柳川さんの場合は、「偏愛を探したい」衝動で参加するというきっかけでした。(開始時点の紹介はこちらを参照)入ってまず行ったことは、自分の偏愛を探すために、過去のCP参加者など、偏愛を抱えた人々との対話を重ねたこと。その中で川端さんとの対話で気づいたのが、偏愛より先に衝動があるのではないかということ。偏愛はいきなり形成されず、まずは自らの衝動に敏感になろうとすることがスタート地点になるのではないかと。

偏愛対話中の柳川さんと、同期の小瀬古さん

衝動→偏愛の順番なのだと納得してからの柳川さん、自分に今ある衝動は、対話したいということ自体だと気づき、「密談喫茶 – 対話から物語をつくるプロジェクト – 」を実施。対話を促すツールや環境を整え、密談後はメッセージやお便りをプレゼントするのだそう。普段ロフトワークのプロデューサーを行う柳川は、プロジェクトを立ち上げるのは得意なものの、基本的にはパートナーやクライアント、クリエイターとの共創プロジェクトを作るため、ひとりプロジェクトを作るというのは新鮮だったといいます。

密談喫茶は今後も色々な場所で出没する予定とのこと。どうやら対話衝動が対話偏愛になっていきそうな予感。色々な人を繋げてプロジェクトを作るのが得意な柳川さんが、新たな仕掛けを作ったことで、さらに面白いプロジェクトを作っていきそうで楽しみです。というか、CPのメンバーを繋いでプロジェクトを作る専属プロデューサーになってくれませんか?>柳川さん。ちなみに、同期で「おいしいお月見」プロジェクトの小瀬古さんと意気投合し、彼のAkeruEでの展示企画のプロデュースに入っている模様。こちらの今後の展開も楽しみです!

密談喫茶に訪れたモール怪獣、あらため、第4期参加メンバーでモール作家のまきのみつるさん。柳川さん楽しそう。

▼ チームメンバー
柳川 雄飛

第6期メンバーの所信表明ピッチが活動初日の10/22(金)に行われました。その様子が公開されていますので、活動にご興味のある方はご覧くださいませ!

以上、第5期メンバーのまとめでした。彼らの活動に巻き込まれたい方も巻き込みたい方も、是非FabCafe Kyotoにお越しください。同時に、COUNTER POINTはこれからも継続してメンバーを募集します。社会と接続させたい偏愛や衝動をお持ちの方は、ぜひ次回以降の応募をお待ちしています。

関連リンク:
COUNTER POINT by FabCafe Kyoto について
※ 第7期 入居期間:2022年1月28日(金)- 4月29日(金)(応募締め切り:2022年1月10日)

Author

  • 浦野 奈美

    SPCS / FabCafe Kyoto

    大学卒業後ロフトワークに入社。渋谷オフィスにてビジネスイベントの企画運営や日本企業と海外大学の産学連携のコミュニティ運営を担当。2020年にはFabCafe Kyotoのレジデンスプログラム「COUNTERPOINT」の立ち上げと運営に従事。また、FabCafeのグローバルネットワークの活動の言語化や他拠点連携の土壌醸成にも奔走中。2022年からは、自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ「SPCS」の立ち上げと企画運営を担当。大学で学んだ社会保障やデンマークのフォルケホイスコーレ、イスラエルのキブツでの生活、そして、かつて料理家の森本桃世さんと共催していた発酵部活などが原体験となって、場の中にカオスをつくることに興味がある。

    大学卒業後ロフトワークに入社。渋谷オフィスにてビジネスイベントの企画運営や日本企業と海外大学の産学連携のコミュニティ運営を担当。2020年にはFabCafe Kyotoのレジデンスプログラム「COUNTERPOINT」の立ち上げと運営に従事。また、FabCafeのグローバルネットワークの活動の言語化や他拠点連携の土壌醸成にも奔走中。2022年からは、自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ「SPCS」の立ち上げと企画運営を担当。大学で学んだ社会保障やデンマークのフォルケホイスコーレ、イスラエルのキブツでの生活、そして、かつて料理家の森本桃世さんと共催していた発酵部活などが原体験となって、場の中にカオスをつくることに興味がある。

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