Column
2021.11.1
浦野 奈美
SPCS / FabCafe Kyoto
こんにちは、FabCafe Kyotoの浦野です。この場所を舞台に2020年にスタートしたプロジェクトインレジデンス、COUNTER POINT(以下、CP)。2021年10月で1年が経ち、これまで5期24組のメンバーが活動を繰り広げてきました。過去のメンバーもいまだにコミュニケーションツールのDiscordで他の期のメンバーと情報交換やコラボレーションを行うなど、スタートするときには想像もできなかった展開に発展することも回数を重ねるごとに増えています。実験的にスタートしたこの取り組みですが、まだ止める予定はありません。自らの衝動や偏愛に気づいたら、ぜひ応募ください。
さて、今回は新しくスタートする第6期メンバーの紹介です。今回は5組。今回も個性豊かなメンバーが揃いました。彼らは10月22日(金)〜2022年1月28日(金)までFabCafe Kyotoを舞台に活動を展開していくので、気になる活動がある方は、ぜひカフェまで気軽にお声がけください。
大学院で「歯磨き」の重要性を改めて知り、歯について考えるようになったという仲野さん。心や身体の健康に大きく関わる歯の大切さを伝えるべく活動をしています。ある時、「日本では猫派と犬派が半々らしいです。猫好きが歯磨きしたら良いんですけどね。」という、友人の何気ない一言をきっかけに、「自分も猫が好きだし、猫を入り口に歯磨きの大切さを伝えることができたら、日本の半分の人が歯磨き好きになる!」とひらめいたといいます。…ん?え!?
すでに猫派の方々向けに歯に興味をもってもらうためのカードゲームを3パターン製作中とのこと。CPでは、これまでに作ったプロトタイプを進化させたり、猫派の仲間を作って彼女が苦手なエンジニアリングの技術を必要とする企画を一緒に作りたいとのこと。猫派のみなさん、あつまれ!
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猫好きのためのアイスブレイク(左)に始まり、猫と歯磨きを繋げるボードゲーム(中央)、そして、猫の病気や人間の歯の病気について学ぶボードゲーム(右)のプロトタイプを作成中。
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歯ブラシを買い換える2ヶ月サイクルで、歯磨き中だけ猫コンテンツが楽しめる体験(ARやラジオなど)を開発したいとのこと。
▼ チームメンバー
仲野 由貴子
「毛殻やぶり」というプロジェクトでCP第4期に参加したまきのみつるさん。カラーモールで作ったスーツを身に纏ってパフォーマンスをしたり、子ども向けのワークショップなどを通して、カラーモールアーティストとしての表現を、文字通り全身で取り組みました。(みつるさんの4期の活動の様子はこちらからどうぞ)
今回はコマ撮りアニメに挑戦です。FabCafe Kyotoを舞台に15秒くらいの短い動画を作ってこれまでとは違う表現の可能性を模索したいとのこと。第4期の活動でも、作った作品をカフェに忍ばせていたみつるさん。彼らが動き出したら面白いなと思っていたのだそう。そこで、閉店後の夜のカフェにカラーモールで作ったキャラクターたちが動き回るアニメを作るそうです。ということで、活動時間は夜(〜朝?)になりそうです。今回の活動期間中にみつるさんに会いたい方は閉店直前がよさそうですね。
▼ チームメンバー
まきの みつる(カラーモールアーティスト)
Chain&co.というクリエイターユニットで活動する牛嶋さんと佐藤さん。普段は、レーザーカッターやシルクスクリーン、刺繍などで、さまざまなオリジナルの作品を制作・販売していて、FabCafe Kyotoの工作機械のヘビーユーザー(いつもありがとうございます!)。
ほぼ毎日銭湯に通っているというふたりは、銭湯を「全てから解放されるサードプレイス」と断言するほど大の銭湯好き。牛嶋さん曰く、「デバイスを通して一日中誰かと繋がってしまう昨今、 何も考えなくて良い身近な居場所である銭湯は、唯一デジタルデトックスできる大事な環境」とのこと。一方で、最近のサウナ/銭湯ブームに乗れず廃業した銭湯を見て、銭湯を絡めた何かができないかと模索していた時に、「ジェスモナイト」という素材に出会い、銭湯の修繕で出た廃材(タイルなど)を使った商品開発をしようという思いに至ったのだそうです。
ジェスモナイトで制作した商品に、使用にした廃材の銭湯名 / 所在地など紹介文を記載することで、その銭湯を知ってもらい、行きたくなってもらうための導線を作るとともに、素材を採取した銭湯でも商品を販売して売上に貢献したいとのこと。すでにプロトタイプも着々と進められていますが、3ヶ月後にどんな商品に進化していくのか、楽しみです!
▼ チームメンバー
Chain&co.(牛嶋 亮、佐藤 彩子)
京都産業大学で、ゲーム開発やインタラクション、デジタルファブリケーションを学んでいる小山さん。これまでもインタラクティブなプロトタイプや作品を作ってきた小山さんは、中学生の頃からゲームを作りたいと思っていたそうで、今は、世界中を笑顔にする「ワクワク」を創り出したいのだそうです。
そんな小山さんがCPを知ったきっかけは、世界同時開催のワークショップGlobal Goals Jamというイベント。このイベントに課題の提供者として参加していた第5期メンバーの「インクルーシブなアソビ」チームと出会い、さまざまな障害・性別・年齢に関わらず、みんなが集えるインクルーシブな遊びを作りたいと思い、参加することに。ということで、小山さんの活動には、第5期の「インクルーシブなアソビ」チームも引き続き密に関わっていきそうです。
早速、「インクルーシブなアソビ」チームとのコラボレーションも含めて3つのプロトタイプの構想・制作を進めつつ、同期の「猫のために、私のために。」の仲野さんのアウトプットの相談にも乗り始めている小山さん。とにかく「作る」という行動力のある彼が、3ヶ月の間に、CPメンバー内外のさまざまな人と軽やかにコラボレーションしながらアウトプットするというエネルギーを吹き込み、生き生きと(忙しそうに)実験を進めている様子が今から見えるようです。
▼ チームメンバー
小山 修平
京都大学農学部1年生の鈴木さん。高校時代は物理部でロジック回路を使ってゲームを作ったり、二足歩行ロボットを開発していたとのこと(ロボコンにも出場したらしい)。3Dプリンタも個人所有して昼夜を問わず稼働させ続けているというFab男子!
そんな彼が今回なぜ火と水をテーマにしたのかというと、物理部の合宿がきっかけなのだそう。それが、便利なキャンプ用品一切禁止の山奥でのキャンプだったそうで、薪を割って火をおこすところから手作業で焚き火を作ったことで、焚き火にハマったのだそうです。他方、都心にもかかわらず渓流が近くにあったりお台場に近い環境だったのもあり、水辺によく学校をサボって行ったりしていたそう。火も水も常に表情を変えていくところが面白く、飽きない面白さがある一方で、まだどうしてこんなに火や水に惹かれているのか分析しきれていないところがあるとのこと。CPのこれまでのメンバーたちが、感性に焦点を当てたものづくりに取り組んでいる様子を見て、自分も火や水に惹かれている理由を分析しながら、感性に寄り添ったものづくりに取り組んでみたいと思い、参加を決めたとのことでした。
具体的には、現時点ではサイフォンのイメージが近いらしく、自分が感じている火や水の面白さや魅力を表現でき、見て愛でられるような装置を作りたいと思っているとのことでした。
鈴木さんのプロジェクトは、第4期に参加していた「fluid state」の平井さんを彷彿とさせます!どんな装置になっていくのでしょう。
▼ チームメンバー
鈴木 彩太
第6期メンバーの所信表明ピッチが活動初日の10/22(金)に行われました。その様子が公開されていますので、活動にご興味のある方はご覧くださいませ!
以上、第5期メンバーの様子でした。彼らの活動に巻き込まれたい方も巻き込みたい方も、是非FabCafe Kyotoにお越しください。同時に、COUNTER POINTはこれからも継続してメンバーを募集します。社会と接続させたい偏愛や衝動をお持ちの方は、ぜひ次回以降の応募をお待ちしています。
関連リンク:
COUNTER POINT by FabCafe Kyoto について
※ 第7期 入居期間:2022年1月28日(金)- 4月29日(金)(応募締め切り:2022年1月10日)
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浦野 奈美
SPCS / FabCafe Kyoto
大学卒業後ロフトワークに入社。渋谷オフィスにてビジネスイベントの企画運営や日本企業と海外大学の産学連携のコミュニティ運営を担当。2020年にはFabCafe Kyotoのレジデンスプログラム「COUNTERPOINT」の立ち上げと運営に従事。また、FabCafeのグローバルネットワークの活動の言語化や他拠点連携の土壌醸成にも奔走中。2022年からは、自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ「SPCS」の立ち上げと企画運営を担当。大学で学んだ社会保障やデンマークのフォルケホイスコーレ、イスラエルのキブツでの生活、そして、かつて料理家の森本桃世さんと共催していた発酵部活などが原体験となって、場の中にカオスをつくることに興味がある。
大学卒業後ロフトワークに入社。渋谷オフィスにてビジネスイベントの企画運営や日本企業と海外大学の産学連携のコミュニティ運営を担当。2020年にはFabCafe Kyotoのレジデンスプログラム「COUNTERPOINT」の立ち上げと運営に従事。また、FabCafeのグローバルネットワークの活動の言語化や他拠点連携の土壌醸成にも奔走中。2022年からは、自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ「SPCS」の立ち上げと企画運営を担当。大学で学んだ社会保障やデンマークのフォルケホイスコーレ、イスラエルのキブツでの生活、そして、かつて料理家の森本桃世さんと共催していた発酵部活などが原体験となって、場の中にカオスをつくることに興味がある。