Event report

2022.1.26

接近する眼差し 多様な表現を響かせあう vol.2 -「つくるもの、つくるあたま」久坂蓮・寺澤季恵・西田騎夕 アーカイブ・レポート-

「創作」、それはすなわち社会を切り取る無数の手段。

 途方もなく複雑に分岐する世の中に対抗するべく、私たちはシャッターを切り、ペンを取り、エンターキーを軽やかに叩く。クマ財団奨学生というくくりを除き、三人を繋ぐものは何もない。誰もがそう思っていた、トークの火蓋が切られるまでは。

 対話により見いだされた新たな共通項――出自も背景も創作過程も異なる私たちの抱く類似点。それはきっと、世界を紐解く鍵となることだろう。

 私たちは反発しながら、同じ「希望」を追い求めていた。その過程は荒々しくも美しかった。さながら、実験室で引き起こされる化学反応のように。文字に織り込まれた火花の熱を感じ、飛び散る光の可能性を追い求め、各アーティストの今後に思いを馳せよ。

中川朝子

いまを生きる若手クリエイターたちは、眼のまえにひろがる世界をどんなふうに切りとり、自分たちの表現へとつなげているのでしょうか。
本展示では、AR・ガラス工芸・映像・ことば・電気回路・錯覚等、さまざまなメディアをとおして創作をおこなう9人の学生クリエイターたちの作品をあつめ、未来にさしだされた【あたらしいものづくり】の可能性をさぐりました。

本マガジンは、2021年11月に開催された「つくるもの、つくるあたま」展 アーティストトークのアーカイブ・レポートシリーズになります。名古屋の中心部で引き起こされた、新進気鋭のアーティスト・クリエイターたちの化学反応の記録を、ぜひご覧ください。(空気感を伝えるため、話し言葉を活かした記事となっております。)

  • 久坂 蓮 / Len Kusaka

    日本大学芸術学部文芸学科卒業。放送大学教養学部 心理と教育コース在籍。

    男性でも女性でもない性自認をもつノンバイナリー・ジェンダーとして、小説と詩、ふたつの分断された領域をグラデーションとして表現することをこころざしている。

    現在、生物学的に同性の恋びとと愛知県で暮らしている。

    【受賞歴・活動歴】

    • 第13回 深大寺恋物語 候補(2017)
    • 第56回 現代詩手帖賞 候補(2018)
    • 第31回 伊東静雄賞 佳作(2020)
    • 2022年春夏 出版社《港の人》より個人作品集上梓予定

    日本大学芸術学部文芸学科卒業。放送大学教養学部 心理と教育コース在籍。

    男性でも女性でもない性自認をもつノンバイナリー・ジェンダーとして、小説と詩、ふたつの分断された領域をグラデーションとして表現することをこころざしている。

    現在、生物学的に同性の恋びとと愛知県で暮らしている。

    【受賞歴・活動歴】

    • 第13回 深大寺恋物語 候補(2017)
    • 第56回 現代詩手帖賞 候補(2018)
    • 第31回 伊東静雄賞 佳作(2020)
    • 2022年春夏 出版社《港の人》より個人作品集上梓予定
  • 寺澤 季恵 / Kie Terasawa

    1997年生まれ。多摩美術大学工芸学科を卒業後、富山市立富山ガラス造形研究所に在籍。

    近年 では「生命感」を大きなテーマに、吹きガラスをメインとするミクストメディア作品を制作している。

    【受賞歴・活動歴】

    • SICF22 準グランプリ

    1997年生まれ。多摩美術大学工芸学科を卒業後、富山市立富山ガラス造形研究所に在籍。

    近年 では「生命感」を大きなテーマに、吹きガラスをメインとするミクストメディア作品を制作している。

    【受賞歴・活動歴】

    • SICF22 準グランプリ
  • 西田 騎夕 / Kiyu Nishida

    1996年 東京生まれ。情報科学芸術大学院大学メディア表現研究科に在籍。

    『社会の変化や技術の革新によって日々更新されていく現実に向き合い、さらに新しい現実の可能性または変化の中に埋没した現実を技術を以て記述する。』このテーマのもとパフォーマンス作品やフィジカルな作品の制作、研究発表を行う。

    【受賞歴・活動歴】

    • 国際会議 NIME 2020 口頭発表
    • ISCA2019 デジタルコンテンツ部門 入選
    • 北九州デジタルクリエーターコンテスト2020 入選

    1996年 東京生まれ。情報科学芸術大学院大学メディア表現研究科に在籍。

    『社会の変化や技術の革新によって日々更新されていく現実に向き合い、さらに新しい現実の可能性または変化の中に埋没した現実を技術を以て記述する。』このテーマのもとパフォーマンス作品やフィジカルな作品の制作、研究発表を行う。

    【受賞歴・活動歴】

    • 国際会議 NIME 2020 口頭発表
    • ISCA2019 デジタルコンテンツ部門 入選
    • 北九州デジタルクリエーターコンテスト2020 入選

  • 加藤 あん

    2000年生まれ。水瓶座。

    2019年あいちトリエンナーレ育成プロジェクト参加をきっかけにアートとジェンダーについて興味を抱く。卒業論文のテーマは「身体とファッション」。鷲田清一の「モードの迷宮」がバイブル。現代の人々が衣服を着用する意味、身体本来の目的ついて深掘り中。 趣味は映画鑑賞。特に好きな映画は「SWEET SIXTEEN 」。

    2000年生まれ。水瓶座。

    2019年あいちトリエンナーレ育成プロジェクト参加をきっかけにアートとジェンダーについて興味を抱く。卒業論文のテーマは「身体とファッション」。鷲田清一の「モードの迷宮」がバイブル。現代の人々が衣服を着用する意味、身体本来の目的ついて深掘り中。 趣味は映画鑑賞。特に好きな映画は「SWEET SIXTEEN 」。


加藤:初めに、みなさんにご質問なのですが、普段どのようなところから作品制作のインスピレーションを受けていますか?

久坂:作品によりけりなのですが、実体験を物語にしてみることがよくあります。他には、本を読んでいる時ですね。詩や物語も読むんですけど、意外と科学系とか、自分がよく知らない異分野を読んでいく中で生まれるインスピレーションもあります。この分野を自分の世界に落とし込んだらどうなるんだろう、自分の言葉で表現したらどうなるんだろうと考えながら制作しています。
あとは、みなさんの作品を体験してみた時に、自分だったらそれをどう別の形で表現できるだろうかと思ったり。そういった体験を、詩的な表現につくりかえています。

西田:僕の場合、作品をつくりたくなるタイミングがあります。引越したり、旅行から帰ってきたり、環境が変わった時に創作意欲が湧くことが多いです。九州行って、ドイツ行って、岐阜行って、とこれまで転々としてきた経験が、何かしら影響しているのかな。

寺澤:私の場合は、植物の果実であったり種子だったり、自然物から影響を受けることが多いですね。ただ、基本的に植物そのもの、例えばバラそのものをつくりますみたいなことではなくて、植物だったら根っこがあって葉っぱがあっておしべめしべがある、という植物の要素からインスピレーションを受けて、それらを抽出した形をつくりたいなと思っています。こだわりなのかな。
今回の作品に関しては、この建物の雰囲気に合わせたいっていうのが根っこにありました。私は暖色をよく使うんですけど、それは楽しいさやポジティブなイメージを得られると思っているからなんですが、それがFabCafeのイメージにも合っていたので、感覚的に暖色を選びました。

久坂:こだわりという点では、ひらがなの印象を普段から意識して、漢字とひらがなを使い分けています。これは、生理的な感覚なので決まった正解があるわけではないんですけど、流動的で柔らかい、文章が見せる視覚的な音の流れを考慮した時に、ひらがなが一番適しているように感じるんです。
もちろん、読みづらい場合は漢字にしますが、”見る”とか”聞く”、”話す”などの動詞は、一つの意に限定するのではなく複数の意を兼ね備えるためにも、できるだけひらがなにしています。例えば、”きく”は同じ読みでもいくつか漢字があって、それぞれに異なる意味がある。そこを敢えてひらがなにすることで、意味を一つに絞らなくてもよくなるんですね。
他にも、意図的に読みづらくすることで心地よさにつながることもあると思っていて、そんなニュアンスを表現したくて、ひらがなを多用しています。
お二人は、他に何かありますか?

西田:制作する際に、紙とペンが必須だと思っています。とりあえず、自分が思っている単語とか思いを全て紙に書き出すようにしていて。それは、僕自身が納得できないと制作をつくれないからで、文章にしていくことで、自分がどういうものをつくりたいのか理解する、みたいな。大体、ノート一冊分書けたら作品が一個できる。最近はそんなペースで作品を作っているので、紙とペンは必須なのかなと思っています。

加藤:それはパソコンで打ち込むよりも、やっぱり手で?

西田:そうですね。汚くてもいいから、何もアイデアが出てこなくても、メモ書きや走り書きで全て埋めています。そうやって、辛くても頑張って書き続けていくと、次の段階が見えてくるっていうことが多々あるので、まずノートに書くってことをやってますね。
あとは、嘘をつかないことを大事にしています。芸術って、別に嘘でもいいわけじゃないですか。僕の作品の場合、例えば全てを動いているように見せちゃうだけでも、コンセプトとしては十分伝わる。だけども、科学的な正しさを重要視するのは、おそらく納得感のためなんだと思います。科学的に正しければ、僕自身が納得できるので。
もちろん、コンセプトを伝えることを重要視する人もいるし、僕みたいに科学的に正しくないことはしない人もいていい、それは人それぞれ。良し悪しの話ではないです。

西田騎夕/chain of response

加藤:寺澤さんは、植物や人間以外の生物から影響を受けて作品制作をされているんですよね。その人間以外の生命体に惹かれる理由は、何かあるんでしょうか。

寺澤:自然に出てきたものって、人間である私たちがどれだけ真似てつくっても叶わない強さみたいなものがあると思っていて。それが魅力ですかね。

西田:僕は、一つ前の作品でも植物を扱っているわけですけど、僕が植物で面白いと思うところは、植物が人間でも動物でもないことなんです。生きているのに全く動かないし、それでいて僕たちの想像が及ばないところを持っているし、なんか育てたくなるし(笑)
植物が動物や人間と全然違うから、そして、違うけれど同じ地球上に生きるというつながりに、植物を作品に含める面白さがあるなぁと思います。
あと、先ほども言ったのですが、植物ってよくわからない生物じゃないですか。僕は、まぁ宇宙人みたいなものだと思っているんですけど。宇宙人といっても、よく映画とかで出てくるような形状の話ではなくて、人間には捉えられないようなものなのかなと。言語を持っているのかわからないし、僕たちの感覚器官では捉えられないものが、植物には絶対にあると思っている。僕は、そんな植物の捉えられない部分を、工学でなんとか捉えようとしているのかなと思います。

久坂:西田さんの過去作品に、アロエベラを電気素子として扱うことによって、音を変化させていく”アロエベラを使ったシンセサイザー”というものがありますよね。今回の作品もですが、植物が持つ要素を抽出するっていうところが、先ほど寺澤さんのおっしゃっていた、作品制作の上での”生き物の要素を抽出した形”というのと、共通する考えがあるのかなと思いました。
私も、人間だけではなくさまざまな生命体について書くことがあるんですけど、その中で言葉自身になりきるというか、言葉たちというのが本当に生きていると思って制作することがあるんですね。お二人のお話を聞いて、私自身はどうやって制作しているのかなというのを考えた時に、私は抽出するというよりも、それそのものになりきることが、要素としてあるなと感じました。

寺澤:吹きガラスを吹いている時、最初は有機的な形ですが、熱を帯びることですごくガラスが動くんです。その時に、生命のようなパワーがあると感じることがあります。その生命体のような造形を止めようとする過程で、私自身もその作品という生命の中に入っているような感じがします。


寺澤季恵/parasitic fruits “Fab”

久坂:寺澤さんの作品を持たせていただく機会があったのですが、結構、重さがあって。あんなに透明で繊細な表現なのに、しっかりと重量感も迫力もあるガラスは、すごいなと思いました。今つけられているその耳のアクセサリーも、ご自分でつくられたんですよね?素敵です。

寺澤:あ、そうですそうです!ありがとうございます。

久坂:私が寺澤さんの作品を見たときに、ガラスは水みたいに、いろんな物体の仲介をしてくれる存在になるんだなぁって感じたんですけど、寺澤さん自身はガラスの良さをどう捉えているんですか?

寺澤:仲介っていうのもそうですし、いろいろな素材と組み合わせることでガラスの透明感とか繊細でもありかつ重さもあるみたいなところが、特徴だと思います。
特に吹きガラスでは、プラスチックとかではできない、1200度で燃やすことによって生まれるエネルギーやパワーがあるんです。それらを感じることが、果実や植物の力強さと重ねられるなぁって。異素材と組み合わせることで果実感を出したり、ライティングによってヌメヌメした質感を演出することができたり、組み合わせで新しい表情を出せるのも面白いですね。

久坂:ガラス自体も、ものによってザラザラしていたりツルツルしていたりいろいろな表情を持っていますよね。素材選びをする時は、先にこういうものをつくりたいなって選ぶ場合もあると思うんですけど、逆に、この素材を使ったらどうなるんだろうと、素材を起点に作品制作が始まることもあるんですか?

寺澤:どちらもありますね。吹きガラスを吹く時、ガラスの声を聞くじゃないですけど、ガラスという素材に向き合って、どういう形になりたいかを考えてつくることがあります。なので、自分が思っていたのとは、いい意味で違うものができることもあります。
西田さんはどうですか?頭の中で考えていたものと違うものができるということはあります?

西田:僕の場合、制作をする前に作品イメージから展示イメージまでできていないとつくれないですね。もちろん、今回の作品のようにパフォーマンスとして自分が作品の中に入ってみて、アイデアの段階では思いつかなかったことを得られることはあるんですけど、基本的には展示作品をどう見せるかは最初に決めてしまいます。


展示搬入風景


  • SonoSaki

    3Dプログラミングキッズスクール運営 3DCGプロダクション

    STEAM教育「みらいのおねんど」を通じた3D教育を展開。全国各地で「みらいのおねんど特別教室」を開催。これまでにない新しい教育カテゴリー・マーケットを創造する。

    Webサイト

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今回の「つくるもの、つくるあたま」展はいかがでしたでしょうか?

人を魅了するアイデアや物、革新的な技術、世界観、そうした新しいものや考え方は日常の本当に小さな気付きや疑問から生まれてくるもので、当たり前を当たり前と思わない視線や考え方があり、それが「今と未来」を作っているんだなと気付くことが出来ました。

この気付きは子供たちの創造力や思考力を養う上で重要な要素のひとつとして、我々が取り組む3D教育にも落とし込んでいく必要があると感じますし、枠や形に捉われすぎない考え方が今後の教育にも必要だと感じるきっかけを与えてくれました。

今後、具体的に、彼らのようなクリエイターたちと何かしてみたいこと、描く未来を教えてください。

今回は微力ながら支援だけでしたが、今後は彼らのようなクリエイターと、私達が関わっている子どもたちと何か共同でやってみたいと思います。
例えば、ばいそんくんのArama!なんて、子どもたちのイマジネーションに掛かったらどうなるのか想像もつきません。他の方々の作品も、子どもが体験することにより、子どもは勿論、保護者さんも興味を示してくれることで、一般層からのクリエイターのイメージも変わってくると思います。
実際、聞いたり見たりするだけでは彼らクリエイターの良さを100%伝える事は難しいので、是非”体感”をして、クリエイターも子どもたちも、その保護者達もいい刺激が受けれる場を設けたいです。


加藤:みなさんは、どのようなきっかけで創作活動を始められたのか、お聞きしてもいいでしょうか。

寺澤:私は、元々ガラスに憧れていたとかそういうわけではなく、多摩美術大学の工芸学科に入学し、いろんな素材に触れた結果、吹きガラスが一番合っていると思ったからです。
吹きガラスは、作る技術だけでなくて体力的なところも求められるし、結構チームワークで作る部分も大きいんですね。スポーツをやっていた私にとって、そういう要素自体がとても合ってるなあって思いました。
現在は、富山ガラス造形研究所という専門的にガラスを学ぶ学校にいるんですが、これまでガラスとは違う素材に触れてきたからこそ、ガラスの良さを再認識しています。

西田:僕は…なんだろうね、音もなんですけど、今までやってきているモチーフは、全部行き当たりばったりだと思っています。
音系の学部に所属していたので、何か音楽に関わるものを、とりあえず楽器をつくろうと。そんな時に偶然、学会で”メモリスタ”っていう電気素子の話を聞いて、それがアロエにもあると小耳に挟んだんです。それで、アロエなら簡単に手に入るなと思い、”アロエベラシンセサイザー”を制作しました。つくり終わった後、楽器って人が演奏するものだけど、そこに生命が関わっているということを考えると、今度は生命と人間との関わりに興味が湧いてきた。
そこで今回のような作品ができたんです。音と植物というものを繋げて作品制作していたように、何かと何かの掛け合わせを一個一個綱渡りしながら制作をしていますね。

久坂:私は、ノンバイナリーっていう性自認を持っていて、生物学的には男として生まれてきたんですが、自分の性別にすごく違和感を抱えながら生きてきたんです。ですので、一人称を俺とか僕だったりっていうことができなくて、人と喋れなくなってしまった時期があったんですよ。
でも、文章の中であれば、性別を捨てることができた。私っていう一人称で自分を表すこともできるし、人間以外の生き物にもなることができる。人間の感覚で捉えられないものを自分の中で膨らますことも、物語の中であれば、どこまでも行ける。
ですが、そんな文章の魅力がある一方で、今自分が持っている感情を表現することがなかなか難しいという側面もあって。それでもどこかで、もちろん、完全に正確には表現できないかもしれないけれど、諦めずにやってみたいという気持ちがあったので、文章を始めたのかなと思います。

久坂蓮、山﨑結子/Variable Breathing(変動する呼吸)冊子

西田:話を聞いていると、今回は生命について考えている人が多い気がしますね。久坂さんの文章表現も、言葉に躍動感を感じていたり、寺澤さんも植物にエネルギーを感じていたり。僕の場合も、決まった世界の中に決まりきれない存在である”植物”を入れることに魅力を感じています。
こう動いて欲しいのに、なかなか思い通りに動いてくれない生き物らしさが魅力的で、植物単体にもエネルギーを感じますし、何よりそこが面白いんですよね。みんな、そういう生命の面白さを、作品に組み込みたいっていうのが共通点なのかもしれないと思いました。
久坂:生命へ向けられている眼差しもそうですし、ものづくりの過程において、文章の運動性だったり、ガラスの運動性だったり、制作の過程で生まれるものにも生物的な要素があると感じました。

寺澤:作品の中に自分を投影しているという感じがみなさんある一方で、自然そのものになる考え方もあるのかな。久坂さんの作品も、本当に生命体が具現化したような有機的な作品だなと感じますし、西田さんの作品も、自然を作品の一部に加えてしまうというところが西洋的な自然を制する捉え方ではなく、東洋的な自然の中に自分がいることを忘れていないなと。制作者でありながらも、鑑賞者として考えさせられますね。
自分にとっても、他のみなさんにとっても、作品を絶えず進化させていくために他ジャンルから想像力を得て、お互い高めていくのが大事だなと思っているので、今回のような多様な方々との展示は、私自身とても刺激になりました。

西田:単純に、面白いですよね。学内だけだと出会わないような人と交流もできて、更に色んな作品を見れるというのは楽しい限りだし、自分の中の好奇心も刺激されました。そうですね、うん、もっとみなさんの話を聞きたいですね。作家だけでなく、来てくださった方にもすごい話が面白い人がたくさんいらっしゃって、そういうのがよかったです。

久坂:私は、展示自体が初めての機会だったのですが、完成した空間を見た際に、天井からガラスの作品が吊り下がり、他の方の作品も揃い、その中に山﨑さんと私の作品が並んでいるのをみて、すごい魅力を感じたんです。この場所自体が作品みたいな。寺澤さんが、自身の作品をFabCafeに寄生する植物と言っていて、作品だけでなく、この場所そのものも相互作用として作品の要素に入っていくんだなと。
私の作品もこの場所においていただけたことで、他の作品と一緒に見た時に生まれてくる新しい側面をお客様に見つけていただけたらいいなと、こういう機会をいただけてすごく嬉しかったです。
先ほど西田さんがおっしゃったように、来てくださった方からいろいろな感想をいただいて、自分では想像もしていなかったような側面を見てくださり、対話を通して新しい作品の形が出来上がっていくことが本当に嬉しかったです。

加藤:やはり鑑賞者とのコミュニケーションが取れるというのはそれだけ刺激なんですね。クマ財団のコンセプトにある通り、”創造性が共鳴し合う”場が生まれたのかなと思いました。
最後に、今後クリエイターとして挑戦してみたいことがもしあれば教えていただきたいです。

久坂:今回、とても面白かったので、またこのような展示をしたいなと思いました。あと、本当にみなさんの作品がどれもいい作品ばかりで、これからも、もっとコラボレーション制作をしていきたいです。いただいた刺激を元に、個人の文章制作も頑張っていきたいです。

西田:新しい作品制作に挑戦したいと思っています。僕自身、これからどういう方向に転ぶのかわからないと思いながらも、つくり続けていきたいです。あとは、今まで誰かと一緒に制作したことがそんなにないので、共同制作もやってみたいですね。

寺澤:私もコラボレーションしてみたいですね。今回の作品だと、ライティングの演出やプロダクトをつくっている方と一緒にやってみたいなと。もちろん、作品制作も頑張りたいです。

加藤:私からの質問なのですが、クマ財団に在籍しようと思ったきっかけをお聞きしてもいいですか?

久坂:私は現在、放送大学という通信制の大学で勉強しているんですが、以前の大学が日本大学の芸術学部文芸学科というところで、そこで文章の基礎を学んでいた大学1年か2年くらいの時に、クマ財団の募集を拝見したんです。
その時は、まだ自分の中で作品に自信を持てていない葛藤があったんですね。それで、ずっと募集があることを知っていながら応募せずにいたのですが、今年、これまでの自分の作品集を出したいと思ったんです。作品集って、出版社から出版する方法もあるんですけど、自分で自費出版するっていう道もあって、詩集とジャンル分けされるものには自費出版が多いんです。
自分の中のこだわりをもって作品集をつくりたいと思った時に、自費出版するための費用が欲しいし、今だったらちゃんと自分が使い道を定めて、お金を使うことができるなと、応募しました。

寺澤:vol.1で皆さんが言っていたことと類似しているんですけど、私は後ろ立てが欲しいっていう思いがありました。去年多摩美を出たんですけど、めちゃくちゃ学費が高かったんです。それがすごく親に申し訳なくて、でも何もできていなくて。そこで、クマ財団を見つけた時に、自分の存在意義を持つことで、親への恩返しができればと、応募しました。

西田:僕は、クマ財団自体は元々知っていたし応募もしてたんですけど、今期に至っては研究費が欲しいっていうのがありました。植物の生体電位を測ったり、研究として扱ったりするためには、個人では持っていない機材を揃える必要があるんです。それに加えて、制作のためにもそれなりに試作をする必要があり…そういうことを考えた時、余裕を持って研究をするために、そしていろいろな人と出会って作品の幅を広げるために、応募しました。

加藤:ありがとうございます 3月には5期生の展示会もあると言うことで大変楽しみです。お時間ある方はぜひ見に行ってみてくださいね!

次回、vol.3 (天野、今井、久坂、幸村)レポートは2月上旬公開予定です


  • クマ財団

    株式会社コロプラ代表の馬場功淳により設立された公益財団法人。「才能を持った人に、いいものを作って欲しい」という想いのもと活動をスタート。

    5年目を迎える現在、私たちは「創造性が共鳴し合う、世の中に。」というビジョンを掲げ、次の時代を担うクリエイター発掘と支援を行い、若き才能が世の中へ拡がる原動力となることを使命に活動をしている。

    Webサイト

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クマ財団6期生募集中!

クマ財団では、奨学金の給付のみならず、最終成果発表までの期間、創作活動を総合的にサポートします。対象は、2022年4月1日時点で、25 歳以下の学生クリエイター。
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  • 前期募集期間:2021年11月18日(木)〜2022年1月31日(月) 23:59
  • 後期募集期間:2022年2月1日(火)〜3月31日(水) 23:59

Author

  • 市川 慧 / Kei Ichikawa

    大学で触覚の研究室に所属しそれと並行して今年5月からFabCafe Nagoyaにインターンとして参加。メディアアート、ジャズ、ブラックミュージックに関心を持ち、ちょこちょことジャズのライブをしたり作曲やメディアアート作品を作っている。メロンパンが好き。

    大学で触覚の研究室に所属しそれと並行して今年5月からFabCafe Nagoyaにインターンとして参加。メディアアート、ジャズ、ブラックミュージックに関心を持ち、ちょこちょことジャズのライブをしたり作曲やメディアアート作品を作っている。メロンパンが好き。

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